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十七話 戦いの決着

今日はいっぱい時間がありましたから!

ワイバーンが前脚グーの形に握り、葛葉に目掛けフルスイング。葛葉はスキルでそれを華麗に避け、更なる攻撃をスライディングで避ける。


(――よしっ! 初撃は交わした! 後は首を集中的に攻撃すれば良いだけっ!)


ワイバーンの攻撃を交わした葛葉は、走りながらスキルで手榴弾を生成させる。

今の葛葉では、ワイバーンの硬い鱗を破壊することは難しく、ワイバーンに攻撃と言える攻撃をするには、内部からの破壊をしなければならない。ナイフで裂傷一つ出来れば、その箇所に手榴弾を押し込み、鱗の内側から爆発させるのが、この戦いでの葛葉の戦い方だった。


(あと生成できる量は三個位かな、今生成したので大ダメージ与えんとヤバいなぁ)


一度ワイバーンから距離を取り、ワイバーンのヘイトを稼ぎ隙を作ろうとしたが、ワイバーンが口を開き火が渦を巻く。ドラゴンのような大きさでは無いが、脅威足り得るワイバーンのブレス。喰らえばひとたまりも無い。


(……ど、どうすれば――っ!)


と代案を考えるよりも、ワイバーンの放つブレスの方が早かった。目の前に迫る火の塊に、まず皮膚が焼け水脹れが出来るがその上から燃やされる。目が乾き、瞬きを一度すれば瞼がくっ付き、二度と開かなくなる。呼吸をすれば喉を焼かれ、肺を焼かれ、体内も体外からも燃やされ、壮絶な死を遂げる――かと思われた。


「――っ‼︎」


既のところで身体を動かし、ブレスを交わす。髪の毛が燃やされ、髪の毛のごげた匂いが葛葉の居たところに残るが、葛葉は気にせずに、何発も飛んでくるブレスを避けながら全身。ナイフを一本投げ、ワイバーンの残りの目へ刺さる。そして葛葉は太腿のナイフホルダーから予備のもう一本を構え、前傾姿勢を取り速度を上げる。


「……あれが、Lv.1だと……?」


少女の戦いを見守っていた男が、驚愕しながら呟く。


「……葛葉さん」


律は葛葉の姿を見守りながら、目を光らせていた。


「……」


女性の治療を済ました五十鈴は、葛葉とワイバーンの戦いに参戦する機会を伺うが、足手纏いになることは容易に理解できた。今の五十鈴に出来ることは、唇を噛み締め、盾を持つ手に力を込めるのみだ。


(――っ! 熱いっ……けど! やらなきゃ、行けないんだ……私が!)


ブレスが身体の近くを過ぎる度、葛葉は奥歯を噛み締める。あと少し、あと少しで届くのだ。


『——めげるな。諦めるな。前へ進めっ!』


ふと、誰かの声が聞こえた気がした。


「……――っ! 今っ!」


ブレスを交わし、ワイバーンの巨体が間近になり、ナイフを体に刺し込む。クライミングの如く、葛葉はワイバーンの巨体へ登りナイフを突き刺し、目一杯の力でナイフを引いた。

血が溢れ、飛沫をあげる。視界が真っ赤に染まり、全身に血が付着する。だが、千載一遇の好機を逃すまいと、大きな裂傷に手榴弾を三個をまとめて押し込んだ。そして直ぐに飛び降り、葛葉は走り出す。二秒……一秒、と呟きながら走って居ると、直ぐに映画やゲームなどで聴き馴染みがある音が炸裂した。破片が飛び散り、血の雨が降り注ぐ。ワイバーンの断末魔が轟き、次には巨大な身体が倒れる音がした。


「……………………はぁ」


振り返り、葛葉は崩れながらホッと安堵に顔を染めて、息を吐く。葛葉の視界の先、大量の血をぶち撒け文字通りの首の皮一枚で繋がって居るワイバーンがあった。


「……私も、やるじゃん」


そう呟くと葛葉は背中から地面へ倒れた。生い茂る草がクッションとなり心地よく、吹くそよ風が心を落ち着かせてくれる。


「あー……もう、疲れた……」


瞼が重くなってき、葛葉は何度か瞬きを繰り返す。腕を額に当て、目一杯空気を吸い込んでは吐く。葛葉の名を呼ぶ声がするが、今はもう応える気力もない。

葛葉にはもう……意識を保つ事さえ、ままならなかった――。

読んで頂き、ありがとうございます‼︎

緋月や葉加瀬の居ない状況下での激戦でしたね! 主人公なので勝つに決まってます!

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