十二話 連携
今日は早い!
「……ふっ」
指を輪っかにし、その光景を見ていた鬼丸は笑みを漏らした。戦闘が行われて居る地点から、約五キロほどの距離にある、森林。そこから鬼丸は、完全とは行かぬとも『覚醒』を果たした葛葉に、頬を紅潮させる。
「あぁ、早く会いたいのじゃ〜」
自分の両手で、自分の両肩を掴み、クネクネと悶える鬼丸。そんな事をしていると、座っていた木の枝から落ちそうになってしまった。
「おっとっと……ふぅ。……これも彼奴の仕業かの〜? ……はてさて、なぜ彼奴は自身の敵となる【英雄】の復活を目的にしとるのじゃ?」
むむむと眉間に皺を寄せ、鬼丸は暫く考え込むが、さっぱり分からず……。次第には葛葉と濃厚エロエロな○○○をする妄想をしてしまう。
「わしもそろそろ行動せなあかんかのじゃ。なんじゃが、どうしたもんかの〜」
今鬼丸が出たとしても、今の葛葉にはっきり言って微塵子も勝ち目はない。鬼丸は戦いに手加減等はしない主義なため、もし今戦おうものなら葛葉は確実に死ぬ。
……のだが、鬼丸とて愛しの葛葉を殺す訳にもいかず、どうすればいいのか分からないのだ。
「……とりあえず寝るのじゃ」
そう言い、鬼丸は森林の奥へと潜って行くのだった。
『ワイバーン』の鋭い爪が、葛葉の身体を切り裂く直前、『ワイバーン』の脚が血の飛沫を上げる。深く裂かれた脚からはドクドクと血が流れ出し、葛葉も多少の血を被る。その姿はまるで鬼のような姿だ。
「――っ!」
そして『ワイバーン』の死角から、五十鈴が盾を構えながら飛び上がり、鋭くなった端の部分で『ワイバーン』の首を斬り付ける。
「……――なっ‼︎」
だが、『ワイバーン』の首は落ちる事なく、というか首に切傷自体付けれていないのだ。『ワイバーン』は竜の亜種とも言われ、かなり強い魔物だ。ただそれはLv.1〜3の間の冒険者にとってはだが。竜の亜種と言っても、ブレスは水で消せる程度。本来の竜なら人など灰すら残さないのだ。
「五十鈴さん! 首を狙う時は下からの方がいいですよ!」
と律が再び『ワイバーン』の脚を斬り付けながら五十鈴へと叫ぶ。五十鈴は綺麗に地面へと着地し、直ぐに飛び退いた。数舜して、五十鈴が着地した箇所に極太の尻尾が大地を削っていった。着地硬直を狙った『ワイバーン』の攻撃だ。
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主人公の覚醒はあと少ししてからですよね!
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