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一話 感情の整理。

すいません‼︎

夜風が吹き、熱帯夜でも少しだけ涼め風に靡く自身の髪を抑えさえながら少女は、ほっと息を吐いた。雲ひとつない快晴の夜に、星屑達は光を放ち、月が世界を彩る。そんな美しい夜空を眺める、紺色髪の美少女――葛葉はバルコニーの手すりに肘を置き、頬杖をし夜空を見上げながら黄昏て居た。五十鈴に慰められてから、既に二時間は経っている。そして今は夜中の三時頃。泣きじゃくったくせに、何故か寝付けなかったのだ。


「……あの気持ちは、何なんだろ」


夜空に問い掛けるように、ポロッと心の中の声が口から零れ落ちてしまった。薄らと、自分が見た夢を思い出そうとするが、靄がかかり輪郭のみで、何が何なのかさっぱりだったのだ。


「でも、何か伝えたい気持ちがある……」


手を胸に置き、表現できないこの気持ちをどうすればいいのか、思い悩み苦しむ様は、正に恋する乙女だった。切なく、苦しく、劣等感の混じったこの気持ち。何故、こんな気持ちになるのか。自分には今までそう言ったことは無かった。


「なのに……」


怖いのだ。この先、歩みを進める事で何かが起こってしまう。何かが崩れてしまう。それは、本来起こり得ない先の未来。硬めに固めた盤上がひっくり返り、全てが水泡に帰すような気がしてならないのだ。


「お困りかい? 葛っちゃん……」


と声が掛けられ、声の方に視線を向けると、そこにはいつもとは変わった衣服の緋月が立って居た。緋月は少し微笑むと、ムーンウォークのような動きで葛葉の横にやってき、手すりに手を置いて、葛葉の顔を覗き込み、


「どしたん? 話聞こか?」


と言ってきた。


「……あの、ツッコまないと行けませんか?」

「う〜ん、そうだね……。ボケたからにはね」


ツッコむ箇所が多く、情報量も多い緋月の仕草に、葛葉は頬を引き攣らせながら緋月に訪ねる。緋月は葛葉の顔を覗き込んできたまま、ニコッと微笑み頼んできた。葛葉はため息を一度し、「じゃ遠慮なく」と断りを入れてから、大きく息を吸い込み。


「なんで紳士みたいな格好と仕草なのに話聞く時はTwitterに居た出会い厨なんですかっ‼︎ ……はぁ、それに紳士は絶対にムーンウォークで近づいてきませんからね!」


と早口でツッコむのだった。手すりに手を置き、はぁはぁと途中息継ぎはしたが、疲れた葛葉は手すりに体全体の体重を乗せる。


「おぉ〜よくできました!」


パチパチと小さく拍手をし、わぁー! といった満面の笑みで目を光らせる緋月。葛葉は若干イラっとくるが、今は疲れているため取り敢えずは何も言わないでおく。


「で、何の用ですか……」

「何の用とはまたそんな他人行儀な事を言うじゃあないか」


一々大仰な緋月に、葛葉はその顔面にグーパンくれてやろうかと、ついつい思ってしまう。しかもどこかロズ○ールに似てるし。


「……何を悩んでるんだい?」

「……も、もしかして、盗み聞きしてました⁉︎」


全てを見透かしたような目で、緋月は口角を釣り上げる。その緋月の表情を見て、葛葉はボッと顔が真っ赤になり沸騰したやかんのような、素っ頓狂な声で緋月に詰め寄る。緋月の肩を強く掴み、グワングワンと激しく揺さぶる。


「ふっふっふっ……いすずぅ〜っていう声は聞いてないけどねー!」

「――っ⁉︎」


実際最初から最後まで、全部盗み聞きしていた緋月。葛葉は耳まで赤く染め上げ、照れ隠しの一環として、緋月をバルコニーから落とそうとする葛葉。


「いや〜本当に葛っちゃんは揶揄い甲斐があるなぁ〜‼︎」


落とされそうになりつつも、ニッコリ笑顔でそう宣い華麗に葛葉の手から逃げ、バルコニーの手すりを椅子代わりにする。葛葉の頭を撫で、終始幸せそうな緋月。そんな緋月とは対照的に、葛葉は俯き拳を強く握り、耳を赤くして恥ずかしそうにして居た。


「……ま、揶揄いはここまでにして。……葛っちゃん。何に悩んでるんだい?」


悪戯っ子のような笑顔を消し、頼れる大人な表情し、緋月は葛葉の目をまっすぐに見る。かなり不満はあるが、これが緋月クオリティーなのだ。間を開け、葛葉は答える。


「……何か、大事な大切な事を忘れてる気がするんです。誰かに伝えたい事――いや、伝えなくてはならない事がある気がするんです……」

「……そうか」


葛葉は自分が感じる、この気持ちを最大限に表現し、緋月に悩みを打ち明けた。

葛葉が言い終わると、緋月はしばらくして顎に手を当てて深く考え込む。緋月とて、毎日お気楽能天気にバカやってる悪戯っ子ではないのだ。緋月はしばらく考え込んでから、パチンと指を弾き鳴らす。


「それは、忘れているのかい? 元から記憶になかったり、身に覚えのないただの杞憂なのかも知れないよ」

「――っ。……確かに、そう言われればそうですが。でも、私はただの気の所為とは思えないんです」


この苦しくて辛くて切ない気持ちは本物だ。嘘偽りではない、ちゃんとした葛葉の感情だ。

読んで頂き、ありがとうございます‼︎

いやまさか、約三ヶ月前と同じ過ちを犯してしまい、すいませんでした‼︎

言い訳にはなりますが、お昼寝をしてしまいまして……でも、そのお陰で冴えた頭で物語を書けたと思います!

たまにこう言うのもあると思うので、どうか温かい目で見守ってくれると幸いです。

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