血の海ザメ
今回は短い。
「お疲れ様です。メメ様。」
「…誰だよ?…メメって」
死んで死界に戻ってきた俺を向かえたのは、俺の担当天使
シャシャであった。
「貴方様の名前でございます。貴方様が仕事をしている間に神が与えた名前でございます。」
なるほど、確かに自分の名前は決めてなかったな。前世は、もう覚えてないし。
「貴方様が行ってらっしゃる間にこの世界の内装も変わりました。確認をお願いします。」
シャシャは言い終わると、内装の変更点をまとめた本を渡してきた。
まず、海の色が赤色に変わっていた。赤は赤でも血の様な赤に黒を混ぜた色だ。
何というか、禍々しいそれなのに落ち着く色だな。
ひとを喰いすぎて頭がおかしくなったかな?
「貴方様は正常ですよ。」
「ナチュラルに心を読まないでほしいな。」
「別に読んではいません。なんとなくそんな風に思ったまでです。私と貴方様は相性が良いように作られましたから。」
まぁ、いいか。読まれてようといまいと、読まれて困ることなんて考えていないしな。
「貴方様の感性が変わっただけです。」
「変わった?」
「はい、貴方様はサメの世界を経験したことにより、物や色などに対しての感じ方が変わったのです。」
「つまり、この禍々しい血の海を見て、落ち着きを感じることは正常なんだな。」
「はい、私も綺麗に感じます。」
なるほど、言われてみたらおかしくないな。人の感性や性格は先天性のものもあるが、後天性のものが占めている割合は多いと思う。
「それに、血の海は今回の貴方様の代名詞ですから。懐かしさからくるのでしょう。」
あー、今回は血の海になったんだ。なんとなく予想はしていたが、本当になるとはな。
「そういえば、女神さまは何処にいるんだ。初回だし、ダメ出しなどされると思ったんだが?」
あの女神なら俺がこっちに戻ってきてすぐにアクションを起こしてくると思っていたんだがな。
「神なら、今は自分の神域の奥に篭って映画監督や作家に天啓を授けているところです。喜んでいましたよ。出来れば、自分から賛辞を送りたかったと言っていました。」
「そうなのか?あんな典型的な終わり方になって申し訳なかったと思ってたんだけど…」
「いえいえ、とんでもございません。初回からして大成功であります。神の力も大幅に増した。遅れましたが、おめでとうございます。私も嬉しく思います。」
シャシャは嬉し泣きするぐらいの勢いで喜んでくれている風に見える。表情はいつもと変わらないのに、何故かそう見える。不思議だな。
「そうか、喜んでくれているならそれでいい。これからもいつも通り職務を真っ当するよ。」
そうは言うものの仕事を評価されるのはなんとも嬉しいものだな。
「今は忙しいのですが、すぐ終わらして戻ってくるとのことなので、本を読んでいる間に来られると思われます。」
「分かった。大人しく本を読んどくよ。」
他に変わった事は何なのかとメメはまた本を読み出した。