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世界で一番優しいサメ

 すいません、投稿が遅くなりました。


 今週は投稿頻度は上がります。


 宜しくお願いします。

「それでは、人喰いザメ討伐と船長の退院を祝して乾杯!」


「「「「乾杯!!!!」」」」


 ここはある港にある酒場。


 サメ退治に参加した者たちが貸し切って宴をしている。


「船長、あれから調子はどうですか?」


「あぁ、もう問題ねぇよ。片腕での生活も慣れたらそこまで苦労はねぇな。」


「1ヶ月で片腕に慣れる船長さんが凄いですよ。」


 あれから、もう一ヶ月が経った。


 今でも、ここら辺ではあのサメの噂は絶えない。


 また、出た。や、あの海域のサメは全て人喰いである。などの根も葉もない噂が大半である。


 その中には、あのサメは秘密裏に開発された生物兵器の試作品だった等の少しの事実が混ざった噂も流れ始めている。


「それで例の件はどうなった?」


 船長が本格的に酔う前に本題を聞いてきた。


「はい、船長さんが入院中に調べた結果、船長さんの予想通りでした。」


「やはりか。」


 船長は怒りを抑える為に、酒を一気に飲み干しながら言った。


「あの野郎ー!中々事実を認めなかったのはそういう事か!」


「船長…。声を落として下さい。ここは一応私達で貸し切っていますが、それでも何処で誰が聞いているかわかりません。」


 声を荒げる船長を落ち着け様と教授は淡々と注意した。


「大丈夫だ。俺たちの話を盗聴されない為に、他の奴等には大声で騒ぎまくれ。と言ってある。」


「通りで皆さん、まだあまり酔ってないのに、耳が壊れそうになるぐらい騒いでいる訳ですね。」


「あぁ対策はバッチリよ。酒と食物以外の余計なものは全て撤去させてるしな。」


「お陰で、宴の準備は怪しさ抜群でしたね。」


 盗聴機を設置させない為に棚や机などの死角が出来る物は事前に店主に金を払って撤去する様にお願いしていた。


「それは良いのですが、何で裸でビールを掛け合わないといけなかったんですか?」


 教授は宴の乾杯の合図と共に行われた裸でのビールの掛け合いに何の意味があるのか?疑問に思っていた。


 ちなみに、服は宴の前に脱いで外で行われているサメ祭りのキャンプファイヤーに投げ入れた。(服は捨てても良い服で来る事の連絡があった。)


「そんなのもちろん。身体に盗聴機が仕掛けられてる場合を、想定した対策だよ。俺も教授が調査している間ぐうたら寝ていた訳じゃないんだぜ。」


「船長……」


 教授は入院中も次の戦いの為の準備をしていた事に感謝と尊敬を船長に向けていた。


「スパイ映画を見て、尾行と盗聴の対策と予習はバッチリよ!」


 船長は親指を立てて、医者とナースに怒られながら、この一ヶ月夜更かししながら見たかいがあったと、誇らしげに言った。


「船長………」


 教授はゆっくり回復していて下さいと呆れと気遣いを混ぜた表情で船長を眺めていた。


「はぁ、分かりました。それでは、調査結果の詳細を話します。」


 船長が酔い始めた為、早く本題の詳細を話出した。


「船長さんが睨んでいた通り、今回の事件には市長が関わっていました。研究所へ多額の資金援助していました。」


「通りで、サメの存在を中々認めなかった訳だな。」


「はい、自分がこの件に関わっている事を隠蔽しておきたかったのでしょう。事実を認めてしまったら、専門の機関が出動して今回の事件には人間の手が及んでいる事は分かってしまいますからね。」


「その結果がこれだ。」


 船長は怒りのあまりジョッキを床に叩きつけしまった。


「船長…怒りは分かりますが落ち着いてください。市長自身は共犯というだけで、主犯ではありませんでした。」


「じゃあ、主犯は何処の誰なんだよ……。」


 市長が主犯ではないと分かると湧いてきた怒りを誰にぶつけられず、心の中に収めていた。


「主犯はもう居ません。」


「……はぁぁぁ!!どういう事だよ!主犯がいないって。」


「落ち着いて下さい。主犯はいました。ですが、既にいないのです、この世に。」


 船長はそれを聞いた瞬間冷静になって酔いが醒めた


「つまり、奴に喰われたという事か。」


「えぇ、調査中、研究所を発見しました。そこは凄惨と言っていい現場でした。」


 教授は研究所であった事を話し始めた。


「私達が見つけた研究所は海上に建てられた施設です。船で1時間程離れたその場所は漁などを禁止されてる所で誰にも知られない場所です。私達が調査に訪れるまで誰も訪れたていませんでした。その為、現場は事件当時のまま保存されてました。内部はあちこちの割れ目や壊れた水槽から入った海水で施設の半分以上は水没していました。死体の大半は残っていませんでしたが、骨は残っていたので、死因は分かることが出来ました。」


「やはり、奴に喰われた致命傷が原因か?」


「はい、大体はそうですが、何人かは人為的な傷が残っていました。つまり……」


 教授は言いにくそうに言葉を躊躇った。


「つまり、研究者同士で殺し合いでもしてたのか?それとも、誰かの囮にされたのか?という事か。」


 船長が自分の予想を先に答えた。


「えぇ、その傷が致命傷ではありませんが、現場での調査から囮にされて殺されたという事が分かりました。」


「醜いねぇ。助け合わないといけないところで、自己中心的な奴がいたという訳だな。それで、他にあったのか?」


 もう死人の話は結構である。というのは船長の口調から分かった。


「後は、水没した資料などでまだ全ては分かっていませんが、研究結果と資金の明細書が見つかりました。ただ、パソコン等の機会類は壊れていたので、中身を見ることは出来ませんでしたが、違法な研究していた証拠は奇跡的に無傷で残っていました。」


「奴はそこまで考えて壊していたのか?」


 奇跡的に残っていたのは、サメが残る様に施設を破壊したのではないのか?と船長は考えている様だ。


「そこまでは分かりませんが、私はその可能性が高いと思ってます。あまりにも綺麗に残りすぎていましたから。」


 教授は船長の意見に賛同していた。


 ちなみにこの資料は神が残るように小細工した結果である。


「まぁ、これで、市長を捕まえる事はいけます。後はこれを握り潰されない為に、大体的に公表します。」


「あぁ、それがいいだろう。このままでは奴は人喰いザメのままで、人の記憶から消えていくだろう。」


「それで終わらすつもりはありません。彼も醜い人間による被害者であることには変わりません。やった事は許されませんが、それで終わっていいわけがないのです。」


「確か、教授も家族を奴に殺されていたな。恨みはないのか?」


 教授の言い方には自分の憎しみは含まれていなかった。


「ありませんよ。彼女は狂信者と変わらないぐらいにサメの事が好きでしたから、死因がサメに喰われたなら、彼女も本望だったでしょう。」


 それを語る教授には悲しみはありはしなかった。


「そうかい。俺はある。この仕事していたら、明日、友が死んでいた事は、多くはないが珍しくなかった。だから、息子が死ぬのは、この仕事に就いた時から覚悟はしていた。だが、憎しみはある。悲しみはあるよ。」


「そうですか。私達もそうだったら良かったのかも知れませんね。私が彼に喰われようとした瞬間、私には彼の肉体の一部に彼女の存在を感じました。サメの血肉となり喜んでいる彼女の姿が見えたんです。」


 その言葉に船長は戦慄した。怖くなったのだ顔も知らない教授の彼女に得体の知れない寒気を感じた。


「まぁ、流石に私も気持ち悪くなったので、条件反射的に爆破していましたが。」


 そこは彼女に感謝ですね。と当たり前のように語る教授に本当に彼氏彼女の関係だったのか?疑う船長であった。


「これにて事件は解決します。」


「そうだな。やっと終わるんだな。最後に聞いていいか?」


「はい、もう宴も終わってきたの密会もこれで最後になるでしょう。」


 他の人達も酔ってきて寝る人も出てきた。騒がしかった声も聞かなくなってきた。外の祭りも終盤に突入していた。


「奴は何で最初から船を壊さなかったと思う。」


 船長はあれからずっと疑問であった。どうして、あのサメは最初から船を壊さなかったのか?壊していれば、こちらがやられていた可能性は十分あったどころか、こちらの敗北の方が圧倒的に高かったであろう。


「私の推測でありますが、多分、ゴミが出ることが嫌だったのでしょう。」


「ゴミ?」


「はい、喰われそうになる瞬間少し見えたのです彼の口の中が……」


「それでどうなってたんだ?」


「彼の口の中はカメラや船のの破片だらけでした。多分私達に勝っていても彼の命はあと少しだったのでしょう。」


 教授から伝えられた事実に船長は言葉を失った。


「彼は自分で海の環境を汚す事が嫌だったんでしょう。だから、今までの事件で船が破損している事が無かった。私達があそこまで追い込んだ為に、自分が死ぬ事を代償にこの行為に及んだ。だから、彼の口はズタズタに傷ついていた。」

 

「なるほど、そういう事か。奴は誰よりも海が好きだったという事か。」


 教授にはそれが確信できる証拠があった。


「これは後からわかった事ですが、彼によって殺された現場には、明らかに海にゴミが捨てられていた証拠がありました。ビーチでも、近い人ではなくゴミを捨てた人を積極的に狙っていた事が聞き込みの結果分かりました。」


「教授も疑問に思っていたのか?」


 船長は明らかに事件とは関係ない事を調査している教授に自分と同じ疑問を持ったから調査していたのでは、と考えた


「はい、私もあの事は疑問に思ったので、証拠を集めると一緒に確かめていました。あのサメは誰よりも海に優しいサメです。間違いありません。」


「そうか。」


「さてと、これで宴も終わりですかね。」


 丁度、全員が寝落ちしたタイミングで話がキリの良いところで終わった。


「お疲れ。教授。」


「はい、お疲れ様です。船長さん。」


 これにてサメ討伐の宴と祭りは幕を下ろした。



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