バンさんからの手紙
街に行ってから2週間がたった。
畑の野菜は毎日せっせと収穫しお店に送る以外のものはピクルスやソース、ジャムを作って過ごしている。ペンダントの力で大きくなった野菜たちもしばらくすると普通の野菜のように傷みはじめた。
それでも今までの野菜と比べると新鮮な期間はだいぶ長い。
後は冬の為に乾燥させて保存しておこう。家の横にあるジェフさんの仕事場だった小屋はすっかり野菜の保管場所となった。
そんなある日、バンさんから近々店に来て欲しいと書いた手紙とパンが届いた。
「んーなんだろう。野菜の変更とかかな」
季節によって使う野菜が変わるのでたまに店で話し合う事はあるけれど、この時期の変更は珍しいな……と、考えながらも視線はパンの方にいってしまう。
バンさんのお店のパンは本当に美味しいので大好きなのだ。ある程度作業も落ちついたし早速明日行ってみよう。
「パンのお礼にトマトソースとジャムも持って行こうかな〜」
素材が良いからか今回の出来はすごくいい。自分で作って感動している。せっかくだから誰かに食べて欲しい。
こんな時はジェフさんやライラさんを思い出す。食べて欲しいな、2人ならきっと美味しいと言って喜んでくれるんだろうな。
確か荷台屋のおじさんが街から王都までは馬車で1週間位って言っていた気がする。身体に堪える歳になったから今は街の周りの村までさ……と。
配達の事は荷台屋のおじさんが詳しそうだけど、次会うのは4日後だしなぁ。荷物運ぶ方法を明日バンさんにも聞いてみよう。
「うーん、ソースもピクルスもこの暑さじゃ1週間も持たないよね。ジャムと手紙だけ持って行こう」
小さい荷物だしもしかしたら直ぐに送れるかもしれない。
明日の準備の前に畑に水を撒く。まだ野菜はあるからペンダントを使って成長させてないが、水撒きは魔法使いになった様でかっこいいので毎日ペンダントの力を使っている。
「魔術師様の本ってあるのかな、せっかく街に行くし本屋さんにも行ってみよう! 」
ウキウキしながら1日の作業と準備を終える。ジェフさん達が王都に行ってからは寂し気持ちを抑えながら過ごしていたけれど、最近は不思議なペンダントのおかげで毎日が違ってみえる。
「ありがとう、今日も一日元気に過ごしたよ」
ペンダントを握りしめおばあちゃんを思い出しながら眠りについた。
次の日王都へ荷物を送る方法はバンさんに紹介された人によりあっさりと別の方向で解決する事になる。