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調査

「あ、副長おかえりなさーい」


 ドアを開けると、先ほどとは対称に気の緩んだ声で出迎えられた。


「どこ行ってたんっすか? クラウス様もいないし報告上げれなくて困ってたんですよ。ワイバーンが王都を襲って来たって城中大騒ぎなんですから」


「そーですよ! あっちコッチから、魔獣についての問い合わせはくるし。それなのに、お偉いさんは加護持ちの娘に挨拶をしたいって来て大変だったんですから。ワイバーンで忙しいのにそんな時間ないってのに、ほんと言ってもわかんないんですよ」


 魔術部は、魔力の研究・解析・魔道具製作など多くの人が所属している。魔力の差はあれど、魔力持ちとわかった時点で国の管理下に置かれる。


 管理下といっても、魔術部は給金も待遇も良く、魔力持ちと分かると一種のステータスにもなっているので貴族にとっては家の名誉、平民にとっては出世と不満が出る事はない。実質200名ほどで、平民も多くいるがやはり大半は貴族だ。


 魔術部と言っても、研究や仕事内容により細かく分かれている。アルヴィンが所属しているのは、総務も兼ねた対魔獣や国の防衛に特化した部署だ。



「ワイバーンですが、今は王城に運ばれて来ています。魔力感知にかからず急に出現するなど不自然な点が多いので、イルゼはワイバーンへの魔力干渉の有無を調べてきてください」


「はーい。というかワイバーンの事知ってたんですね。それなら早く帰って来てくださいよ。にしても、あまり穏やかそうな話じゃないですね」


「あ、俺も行きたいです! イルゼさんと一緒に行っていいですか?」


 真面目そうに答えているが、口元がヒクヒクと動いて嬉しさを隠しきれてないイルゼと「はーい! はーい!」と手を上げるイーサンの気持ちは分からなくもない。

 実際に魔獣への魔力干渉など見る機会はない。普段なら行っていいと言えるんだがな……。

 今は接触してきた貴族が気になる。


「イーサンには残ってもらいます。面会を求めてきた貴族について調べてほしいので」


 メガネを上げながら話すと、イーサンは素早く書類を取り出した。


「面会に来た貴族は5人、それぞれの家柄・家族構成・ここ数年の動きなど調べてます!」


 イーサンの目は輝き、早くワイバーンの調査に行きたいと体はソワソワしている。……挙動不審で騎士に捕まるなよ。ざっと書類に目を通すが、この短時間でよくここまで調べたものだな。


「イーサン、ご苦労さまです。では、イルゼと2人で調査をお願いします。ワイバーンは騎士団の詰所横の第1訓練場に運ばれてます。医術部も検死に来ると思いますので、くれぐれも揉めないように」


「はーい!」と声を揃えて行く姿は、まるでピクニックに行く子どもだな。


 2人が部屋を出るのを見送ると、椅子に座って書類を一枚ずつ見ていく。謁見の間に来ていた上級貴族に混じって1人男爵家の人間がいた。


 ――――ザスワ=トロネイ


 男爵家が単独で動くとは思えないが。それに保護の話が広まったとしても、上級貴族を差し置いて面会を求めるのが早すぎる。元々リゼさんの事を知っていた可能性もあるな。



 男爵位を授かったのは10年前……以前は王都で商人をしていたのか。


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