表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/101

怪しい影

 屋敷に着くと直接クラウスさんの部屋に向かった。

 クレルと出かけてるはずだけど、もう帰ってきてるだろうか。

 アルヴィンさんが、扉をノックするとクラウスさんとクレルは部屋にいた。

 クラウスさんはすでに知っていたようで、アルヴィンさんを見るとすぐに話を始めた。


「技術街にワイバーンが現れたのは本当か?」


「はい、ワイバーンの成体です。ただおかしな点が一つ。私の魔力感知にかからず急に現れました。誰かが操って技術街(あそこ)にワイバーンを放った可能性があります」


「被害は?」


「人的、物損的にも被害はありません。今は騎士団がワイバーンの処理や住民への対応をしています。私は今から王城へ向かって騎士団長と話をしてきます」


 話を聞くとクラウスさんはチラリとクレルを見た。


「私がリゼの側にいるから問題ないわよ」


「助かる、では私も王城へ向かう。十分に気をつけてくれ」



 私が頷くと、クラウスさんとアルヴィンさんはすぐに転移魔法で王城に向かった。


「リゼ、大丈夫?」


 心配したクレルがそっと手を繋いでくれた。


「うん、みんなの顔を見たら落ちついてきた。大丈夫」


 それよりも気になるのは、アルヴィンさんの先ほどの話だ。


「魔獣を操るって出来るの?」


「出来るわね。ただ禁術だったと思うわ」


 わざわざ禁止されている術を使ってまでワイバーンを操り王都を狙った理由って……。


「私が狙われてたのかな」


 クレルは「そうね」と呟き話を続けた。


「今回、二手に分かれて行動したのは謁見の間で感じた嫌な魔力が、私かリゼのどちらかに向けられたものか調べる為でもあったの。私の存在は一部の信用出来る人達にしか話してないと聞いていたけど、気付く人間がいてもおかしくはなかったから」


 え、なんで……クレルは最初から知ってたの? 

 ジェフさんたちに会わせてくれたのは、クラウスさんの優しさじゃなかったんだ。


「そうなんだ……」


「言っておくけれど、私も最初から聞いてたわけじゃないわよ。急にクラウスが、私と出かけようなんておかしいじゃない。不自然だったから問い詰めたのよ」


 全く不自然ではない。あれはクラウスさんの本心だろう。


「それに、リゼを家族に会わせてあげたかったのも嘘ではなさそうだし。何事もなく過ごさせたかったから、アルヴィンを付けたんでしょうね。でなければ、私が反対してたわ」


 そうだった。忙しいのにアルヴィンさんは護衛に付いてくれたし、クラウスさんだって楽しんでくるようにって送り出してくれた。



「でも、どうしてあんな人通りもある白昼に」


「混乱に紛れて(さら)うつもりだったのかもね。まさか相手も、攫う時間もなくワイバーンが倒されるなんて思ってなかったんじゃないかしら?」


 魔物まで使うなんで。

 自分が誰かに狙われる立場になるなんて思ってもみなかった。


「ねぇ、リゼ。私と契約しましょう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ