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先生とは

「コラードだ」


 あぁ、きっとおばあちゃんだ。


「コラードは祖母の名前と同じです。クラウスさんのローブにあった魔方陣も、おばあちゃんに小さい頃よく読んでもらっていた本に載ってたんです」


 クラウスさんはバッと立ち上がり、何かに気付くと力なく椅子に座った。


「リゼのお祖母様は亡くなったんだったな……。先生はもういないのか」


 アルヴィンさんもおばあちゃんを知っていたのか「まさか……」と言葉を失っている。


「先生は孤児だと言っていたが、25年前の帝国との戦いの功績が認められて宮廷魔術師になったんだ。それからほどなくして魔術師長に異例の大抜擢だ。たが、人の犠牲の上にある地位など欲しくなかったとよく言っていたよ。精霊の研究をしながらゆっくりしたいと」


 おばちゃんが魔術師長……。


 クラウスさんが語る私の知らないおばあちゃん。

 私は何も知らなかった。


「知りませんでした……」


「魔術師は戦いがあると駆り出されるからな。先生は君の魔力に気付いていたはずだ。危険から避けるために言わなかったんだろう」


 クラウスさんは「あの人の未来を奪ってしまったのに、もう謝る事が出来なくなってしまったな」と呟いていた。


 おばあちゃんは、クラウスさんの事を恨んでなんかないはずだ。そうでなければ、おとぎ話に光の魔術師の話もしないだろう。なにより後悔のない人生だったと言っていた。

 ちゃんと伝えなければ。


「クラウスさん、私、小さい頃おばあちゃんが話してくれる魔法使いの話が大好きだったんです。主人公は光の魔法を使う青年なんですよ。一生懸命努力して立派な魔術師になるんです。銀色の髪で紺色のローブを身につけていて、……きっとクラウスさんの事ですね」


 クラウスさんは一言「そうか」と言うと窓の外を見た。小さく震える肩を私もアルヴィンさんも見ないふりをした。




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