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先生との思い出

「このローブは私の魔術の先生が作ってくれたものなんだ。魔方陣も一定の魔力量以下の者が見てもわからないようにしてある。何よりこの守護陣は師匠の完全オリジナルだ、魔術を学んでいない君が一目で守護陣とわかるほど簡単ではない」


 初めて見るクラウスさんの真剣な表情に言葉が詰まる。


「クラウス様、気持ちはわかりますが少し落ち着いてください。そんな今にも噛みつきそうな顔で聞いてもリゼさんは答えられませんよ」


 アルヴィンさんの一言で、クラウスさんは天井を見上げ目を瞑ると息を吐いた。

 張り詰めていた空気が消えて、クラウスさんが話しはじめた。


「魔力のある貴族は幼少期から先生がつき魔術について学ぶんだ。私は魔力はあったが一族の中ではいわゆる落ちこぼれでな、そんな時に先生に出会ったんだ。とてつもなく強いが優しくてな、尊敬していたよ」


 アルヴィンさんが、クラウスさんと私に紅茶を出してくれた。クラウスさんは一口飲むと再び話を続けた」


「先生に教えを請うようになってから、魔術の使い方が一気に上達した。嬉しかったよ。ある日、先生と森で魔術の練習をしていると魔獣が現れてな。襲ってきたんだ。力の使い道を覚え始めた者によくある話だ。先生は逃げろと言ったが、私は強くなった自分を見て欲しくて先生の言葉を無視して戦いを挑んだ。褒めてもらいたかったんだ、魔獣(あいて)との力量の差もわからずに」


「……それでどうなったんですか?」


「死にかけたよ。魔獣は先生が倒したが、私の傷は深くてな。先生は炎の魔術師で、治癒の適性は持ってなかったんだ。それなのに自分の魔力を体内で変換して無理やり治癒魔法を使ったんだ」


 そんな事が出来るのだろうか、クラウスさんは私を見ると悲しげにフッと笑った。


「普通は出来ないだろうな。本当にあの人は規格外だったんだ。だが、代わりに魔力が使えなくなった。適性外の魔力を使ったせいで体内の魔力を流す回路が壊れたんだ。目が覚めて初めて先生に言われた言葉が、指示は守れバカもの! と特大のげんこつだったな。しばらくして魔術を嫌いにならず立派な魔術師になるようにと、先生が使っていたこのローブをもらったんだ。その時は落ち込んでる私を励ましてくれたんだと思っていたよ」



 なぜだろう。

 なぜ今、昔おばあちゃんから聞いた物語を思い出すんだろう。



「魔術を使えなくなった魔術師は宮廷にはいられない。魔術師長だった先生は辞めていなくなっていたよ。それからずっと探している」


 光の魔術を使う青年が立派な魔術師になる話だ。小さい頃、寝る前に何度もねだって聞いていた大好きな話。私も大好きな話だよと優しく話してくれたあの話は……。


「クラウスさん、その先生の名前はなんというんですか?」

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