アルヴィンさんとの出会い
「クラウス様、あなた加護持ちの方は子どもだとおっしゃってましたよね? リゼさんはどう見ても子どもではないでしょう。正確な報告は基本中の基本です。ご自分の価値観と世間のズレをしっかり把握してください」
疲労感をまとった男性は、部屋に入るとツカツカとクラウスさんの前に立ちお説教をはじめた。
眼鏡をぐいっと左手で上げながら、全く笑っていない目で口元はほほ笑むという器用な事をしている。
ボソッと「年上好きにも困ったものだ」と言っていた。
ほーう、クラウスさんは年上が好みなのか。私が子どもに思えるとなると、クラウスさんの思う大人は40才以上だろうか……。
「アルヴィン、俺は別に年上が好きなわけじゃない! リゼ、若い娘がニヤニヤするな」
おっと、叱られてしまったが別に年上好きに偏見などない。クラウスさんも口調が崩れてるし図星なのかな? クレルもペンダントから「だから独身なのかしら」と納得している。ずっと静かだったので寝ているのかと思っていたが、ペンダントの中から見ていたようだ。
「人生経験豊富な方に惹かれるのは別におかしな事ではないですって……痛い痛い痛いです!!!」
おかしい、フォローしたのにホッペを思いっきりつねられた。
「茶番はおしまいだ。リゼ、部下のアルヴィンだ。君の側にはアルヴィンが付く。わからない事は彼に全部聞いてくれ」
クラウスさんは自分のミスを無かった事にしアルヴィンさんを紹介した。どうやら、このローブを届けてくれた人のようだ。
「リゼさん、急な話で戸惑ったと思いますが来ていただきありがとうございます。何があっても必ずお守りしますのでご安心ください。早速ですが、謁見について話をしましょう」
アルヴィンさん曰く、基本的に私は話す事はないらしい。クラウスさんが上級貴族の前で保護の承認を求め、陛下から私に保護する旨を告げられたら深くお辞儀をして終わりらしい。
それなら何とか出来るかも。
謁見が30分後にせまり私たちはクラウスさんの屋敷から、王宮のクラウスさんの執務室へ転移した。
「大丈夫ですか?」
執務室に着くとアルヴィンさんが紅茶を出してくれた。
美味しい!
今まで飲んだ中で一番美味しかった。
「はい! とても美味しいです」
アルヴィンさんは、優しく笑うと「ありがとうございます」と言ってクラウスさんにも紅茶を出している。
「アルヴィンの紅茶はうまいが、大丈夫かと聞いたのは味の話じゃないぞ。転移魔法酔いの心配だろ? リゼは魔力への適応能力が高いんだろう。初めて屋敷へ転移した時も平気そうだった」
転移酔いとかあるんだ。
魔力については知らない事ばかりだなぁ。
「さて、行くか」
紅茶を飲み終えたクラウスさんが立ち上がった。
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