回想 約束
いち早く反応したのはジェフさんだ。
「バカ言うな、オレはまだまだ心配される歳じゃねぇ。くだらねぇ事ばっかり言ってたら旦那に愛想つかされるぞ」
「そうだよ、それにあんたライツ君にはちゃんとここに来るって言ってきたんだろうね?」
「ちゃんと言ってきてるしこの話もずっと前から2人で考えてた事なの。彼に両親は居ないけれど父さんや母さんの事を本当の親の様に思っているの。私たちが父さん達と暮らしたいのよ」
あー何だかマリーさんの旦那さんの気持ちが分かるかも。きっと私のようにジェフさんやライラさんから沢山の愛情を貰ったんだろうな。
眩しいなぁ、こんなに思い合えてる家族なら一緒に暮らしたら良いのに。生きているんだから。
「リゼ……」
え?
不意にライラさんに名前を呼ばれて顔を見ると悲しそうな顔をしながらリゼは分かりやすからねと呟いた。
「リゼはもう私たちの家族だよ、自分は関係ないと思わないどくれ。さて!」
そしてライラさんは勢いよく手を叩いた。
「マリー今日は泊まって行くんだろ? 荷物を家に入れちまいな、王都の話はもう少し考えさせておくれよ。急には決めれないから」
マリーさんもライラさんの返事を予想していたのか頷いた。
「ゆっくりで良いのよ、私たちの考えを知って欲しかったの。3日後に帰るからその時に返事を聞かせて」
マリーさんは中々ゆっくりでない期限を設定し家に入って行った。
それから色々あったが2人はマリーさんと王都に行く事になった。マリーさんの説得と私からもそれが良いのではないかと話をした。
3人は私も一緒に王都へ行こうと最後まで言ってくれたが、流石にそこまで甘えるつもりは無く断り続けた。
それならばと、ジェフさんが私に住んでいた家と畑の管理を任せると言ったのだ。2人が出て行った後、私がまた旅に出ると思ったそうだ。
鋭いなと思ったがライラさんが笑いながらリゼは分かりやすいと言っただろ?と優しく髪を撫でてくれた。家も畑も自由に使っていいが代わりに月に1度は必ず手紙を書くと言う約束だ。
最後まで優しい2人に必ずと約束し私の新しい暮らしは始まった。