魔力で畑を作ってみる
家に着くと苗木はちゃんと届いていた。
「転送って便利だよね、私も覚えたいなぁ」
チラッチラッとクレルの方をみる。
ペンダントから出てきてストレッチをしているが、もしかして中は狭いのだろうか。力を使ってペンダントの中の空間を広げてると思っていたけど、体をねじ曲げて無理やり入ってたらどうしよう……。
「……中は広いわよ」
な、なんで分かったんだ。まさか精霊とは心まで読めるのだろうか……。
「リゼって本当に何考えてるかわかりやすいわね」
どうやら読心術ではなかったようだ。良かった、クレルを好きすぎて気持ち悪いなんて思われたら立ち直れない。
「はいはい、おふざけはそこまでにして。苗木と種植えるんでしょ?私はお姉様たちの所に行ってくるから」
「はーい、さて早速植えよう!」
森は広いけれど畑はそんなに広くないから植えるバランスに悩むなぁ。とりあえずりんごとレモンの苗木は元からあるさくらんぼとオレンジの近くに植えて他の果物は新しく畑作ろうかな。
そういえば、緑の魔力で土を動かせるってクレルが言ってたよね。ふっふっふ試してみよう。うーん、場所どこにしようかな……果物は食べたい時にすぐ収穫出来る距離がいいから、決めた!家の横にしよーっと。
場所が決まれば次は畑の大きさだ。家の半分位でいいかな、後はイメージ、イメージ。……魔力を集めながら土を耕すイメージで魔力を土に向かって流す!!!
ドガガガガガガガッッッ!!!!! プッシャャャーー!!
「リゼ!? 一体何なの??」
精霊の花の近くでお姉さんたちと話していたクレルが急いで飛んできた。
「畑を作ろうとしたんだけど、お湯が出てきたみたい」
クレルは畑になる予定だった場所を見て「……良かったわね、東の国では温泉って言うのよ」と教えてくれた。
その後、クレルの指導のもと畑は別の場所に作ることにし無事に完成した。種は私たちが王都に行っている間に精霊のお姉さんたちに蒔いてもらうことになった。
少しはお手伝いしたいし、魔力は森に帰って来てから流せばいいからと。
温泉は精霊たちが喜んで入っていた。
楽しそうだ……。私も入りたいのでクラウスさんにお風呂の作り方を聞くことにする。クラウスさんが知らなくても宮廷魔術師だ、知っている人を知っているだろう。




