王都からの訪問者
お風呂から出たクレルに夕飯のリクエストを聞くが今日もパンケーキだった。
「パンケーキは朝も食べたからダメです。精霊だからって偏食はいけません」
そんなぁ〜と膝をついて落ち込んでるが、こればっかりは譲れない。何故なら私がもう飽きたのだ。いくら美味しくても毎日は食べれない。甘い物の後には塩味が食べたくなる。
干し肉と野菜たっぷりのクリームスープにしよう。クレルを見るとまだ落ち込んでる。デザートにさくらんぼのシロップ漬けを出してあげようかな。最近さくらんぼばっかりだからなぁ、もう少し色んな種類の果物を作りたいな。明日は王都のお店に商品を送る日だ。クロードさんは荷台屋さんに任せて大丈夫だと言ってくれたが初日だし私もギルドに行ってみよう。その後、市場に行って果物の苗探しをしよう。
「クレル〜畑に行くけどどうする?」
「一緒に行くわ」
私が畑に行くとクレルは大体ついて来て精霊の花の下で涼みながらおしゃべりをする。じんわり暑いけれどたまに吹く風が気持ちいい。
納品分は午前中にまとめたので、のんびりとクリームスープに入れる野菜を収穫する。じゃがいも・玉ねぎ・にんじん・そら豆・きのこ、これだけあれば良いかな。クレルはそら豆が苦手なのですり潰していれよう。
水やりには少し早いけれど、明日街に行くから今日は早めに終わらせよう。
右手に魔力を込めて畑に水を降らせる。バサっと音がして振り向くと銀色の髪に黒いローブを纏ったとんでもなく整った顔の男の人が立っていた。
「魔術師がいるとは驚きだな……いやまさか精霊魔法か? もしかして君がこの聖域を作ったのか?」




