クレルの帰郷
クレルが帰ってしんみりしてたけど、明日はバンさんのお義理のお兄さんに会う日だ。準備しなきゃ。
さくらんぼをお店に出したいって言ってたから、さくらんぼは持って行くとして……、ジャムも持っていこう。大量の瓶に入ったジャムを横目に見ながらバンさんの分も用意する。こないだ渡すの忘れちゃったからね。
ミルキーにも持って行こうかなぁ、すごく喜んでくれてたし、んーー流石にまだ早いかな。
せっかく気に入ってくれたのに、食べ過ぎて飽きちゃったらやだもんね。ミルキーに渡すのはまたの機会にしよう。
クレルと出会ってまだ2日しか一緒に過ごしてないのに、一人のご飯は味気なかった。
「早く帰って来ないかなぁ」
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澄んだ湖がキラキラと太陽の光を受けて輝いている。周りには小さな花が色とりどりと咲き誇り、それを囲むように若々しい緑の葉を付けた木々が力強く立っている。
木の下には精霊達が花を摘む姿が見える。木の葉の隙間から射し込む光が一層幻想的にその姿を引き立てている。
「ただいまーー!! 」
急にかけられた懐かしいこえに精霊たちは一斉に振り返る。
「クレル! 」
「一体今までどこにいたの? みんな心配してたのよ! 」
抱き合って再会を喜んでいると村の中心にそびえ立つ聖樹から一際輝く光を纏った精霊が現れた。
「クレル、おかえりなさい」
「お母様! 心配かけてしまってごめんなさい。ケガをして帰れなくなってしまってたの」
「無事で良かったわ」
クレルは久しぶりに母親に抱きしめられ涙を流した。今までの話をみんなにしなきゃ! 先ずはリゼの話からね!!
リゼのお土産を受けとった精霊たちは、そんな人間がいるなんて! と興奮しみんなでリゼの元に遊び行く事を決めた。お手製ジャムとパウンドケーキと野菜で知らぬ間に精霊の心をガッシリ掴んだリゼだった。




