魔力で豊作
豊作は嬉しい、もちろん嬉しい。
だけど1人じゃどうしようもない量だ。もう一度畑を見る。
トマト・ズッキーニ・かぼちゃ・人参・大根・トウモロコシ・じゃがいもにさつまいも。花と同じで季節なんてまるで関係なくそれぞれの小さなスペースに我こそは!と実っている。果物はサクランボにオレンジの木が1本。ただその木にも勿論たくさんの実がついている。
「どうしようかなぁ、小屋はもういっぱいだし……」
一人言を言いながら精霊の花の方を見ると見たことも無い花や草がキラキラと茂っていた。
「クレル……あれなんだろう、花と草が光ってるんだけど」
クレルは私の肩から花の方を覗くと、立ち上がってぴょんぴょんジャンプし始めた。
「精霊の花と薬草よ! 緑の魔力に誘われて咲いたんだわ!! 私もうここに住むわ。リゼの料理は美味しいし、精霊の花も沢山咲いてるし、緑の魔力が溢れてて心地いいしこれ以上の場所はないわ」
「本当に!? 大歓迎だよ!!」
クレルはいつか居なくなるって思ってたから凄く嬉しい! 1人で暮らすのはやっぱり寂しい。
クレルに頬ずりしようとすると逃げられた……解せぬ。
「でもその前にお母様に会ってくるわ、きっと心配してると思うから」
そうだった、クレルはケガをして帰れなくなってたんだった。
「そうだね、それがいいよ。あ、ジャムをお土産に持って帰る? 沢山あるから」
「わーい! ありがとうきっとお母様も喜ぶわ、お姉様たちも甘いの大好きだから」
「クレルって姉妹がいるの?」
「えぇ、今は里に100人くらいかしら? 里にいる多くの精霊はお母様の魔力から生まれたの。私が一番若い精霊だから里のみんなの事はお姉様ってよんでいるの」
おぉ、そうなのか。なんてファンタジーなんだ。って事はたくさん用意しないと足りない。
「クレル、いつ帰る? あと2日待ってくれない? そしたらみんなの分のお土産作れるから」
クレルがあっさり了承してくれたので、早速お土産作りだ! 先ずはサクランボとオレンジのジャム作りからね。




