ベルデライト
「そう、それで? どうやって出るつもりなの?」
「アレクが泣いてんのに"そう"だけで終わらせるコラードって、あっさりしてるよな」
「アレクの懺悔は聞き飽きた。正直、鬱陶しい」
「うげっ、あっさりは撤回。冷たいぞ!」
「なんとでも?」
「あ、飽きた? コラード……僕のこと鬱陶しいと思ってたのか……」
「もう、アレクったらしょうがないわね」
スイとコラードのやりとりで涙が消え去ったアレクは、ガーーーーンと効果音が聞こえそうなほどにコラードの一言にダメージを受けている。
リアナが慰めているのでそのうち元気になるだろう。
コラードのうんざりした様子から、私たちのいない所でもアレクは頻繁に後悔を口にしてたみたいだ。
「全くアレクじゃ話が進まない」
「僕たちにはあまりに大きすぎる罪なんだよ」
コラードの呟きにロイが答えると、白衣のポケットから小さな箱を取り出した。箱の中には濁りのない深い緑色の石が中央に収まったペンダントが入っていた。
「「わぁー、きれいだね!」」
「ベルデライトを使った魔術具だよ。ベルデライトは癒しの効果がある石なんだ。空間拡張と魔力遮断の陣を施してるから、その中に入れば魔力を感知される事はないんだよ」
「へー、よくわかんなけどすごそうだな」
「魔力が遮断できるって事は外に出ても研究者に見つからないってことだ」
ロイがスイに説明している間、コーラルはペンダントを見ていた。
「これ、ロイが作ったの?」
「いやアレクと2人でだ。どうしてだい?」
「ここ、魔力遮断の陣。ほんの少しだけど乱れてる」
トンっとコラードが石の中にある陣を指した。
「えっ? 本当だ。おかしいな、今朝確認した時には問題なかったんだけど。……うーん、この部分だけ書き直せば大丈夫そうだね」
コーラルの言葉にいち早く反応したのは、リアナに慰められていたアレクだった。
「コーラル、いつの間にこんな複雑な陣を読めるようになってたんだい?」
ペンダントに夢中になっているアレクの横で驚いた顔をしたロイがコーラルに尋ねた。
「……アレクが、面白いし知識は力だからって本をたくさんくれたんだよ。それを読んでるうちに覚えた。解読は出来るけど陣の形成はまだわからない事ばかりだけど」
「確かに陣の作成はコツがいるからね独学じゃ難しいとは思うけど、初歩的な簡易陣ならまだしもコレを本を読んだだけで解読するなんて信じられないな。流石は、レシ……」
「ロイ!!!」




