商業ギルドと本屋
ギルドは街の中心部にあった。白を基調とした二階建ての建物で想像していたより立派だ。
入り口には、荷物を乗せた馬車が停まっている。
この馬車かな? そんな事を思いながら中に入る。
入って正面にカウンターがあり数人の職員がいた。掃除が行き届いているのか清潔感のある場所だった。真っ直ぐカウンターへ行き職員に声をかけバンさんに書いてもらった手紙を渡した。
手紙を読むと「わかりました、今回だけですよ。私バンさんのパンの大ファンなの」と手紙と荷物を受け取ってくれた。送る相手の住所と名前、それから私の名前を書くとすぐに手続きが終わった。
バンさんの言った通り今日の便なら3日後には着くようだ。料金を払ってギルドを出た。
次の目的地は本屋だ。祖母といた時はよく読んでいた本も村を出てからは読む事はなくなっていた。
一冊でも持って来れば良かったな。
2年も経ったのだきっと色々と処分されているだろう。祖母との思い出の家がないのは悲しくはあるけれど村に未練はない。今は森で野菜を育てながら自由に暮らしているだけで幸せだ。戻る事もないだろう。
ギルドから10分ほどで本屋につく。街の本屋に行くのも久しぶりだ。
そんなに遠くないのに用事で街に来ても遊びに来る事ってなかったなぁ。生活用品もジェフさん達が置いて行ってくれたもので十分生活出来てたし、食材を買いにくる位だ。……たまには街に遊びに来こよう。
さて魔術師さまの本はどこかな?
キョロキョロと見渡すけれど、それらしい本はない。
「何かお探しですか? 」
奥の方から声がする。よく見ると大量の本の隙間から若い女の子の顔がみえた。
び、びっくりした…店員さんだよね…?
「あの、魔術師さまの本を探しているんですがありますか?」
女の子は少し驚くと本を持って来てくれた。
「魔法書、買う人も少ないのであまり置いてないんですよねー。初級魔法と入門書、店にあるのはこの2冊ですね」
魔法書と言うのか。全くの素人が趣味で読むのだ入門書ならむしろ丁度いい。




