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Re:connect  作者: ひとやま あてる
第1章 王国編
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第10話 変化

はい、おはよう。


2日目ですよ。


とりあえず昨日の成果を確認するか。


昨日一回倒れて以降MPが増えてる感じがしたから行った実験だが、さてどうだろう。


また例によって手先からマナを放出していく。


……うん、確実に増えてるね。


MPを消費するだけだと実感はあまりなかったけど、完全に底をつくまで使うと効果は大きいみたいだな。


消費すればするほど増えるのか、はたまた元々のMPが少ないから増えやすいだけなのかは疑問だが、MPが満タンという状況にはならないようにドンドン使っていこう。


そうなると、魔法に関してもっと知識が欲しいところだな。


この学校だとそこにはあまり期待はできないかもしれないな。


王都だから図書館はあると思うし、なんならもっと上の学校に行くのも良いかもしれない。


『クロの大冒険〜学園編〜』が始まるのも、そう遠くはないかもしれないな。


はあー、テンション上がるわ!


さっさと異世界言語をマスターしていかないとな。


そんな事を考えながら、また新しい1日が始まった。


やることは昨日とあまり変わらなかった。


だがやる気がモリモリ湧いてくる。


次から次にやりたいことが現れてくるので、てんやわんやしつつも今やるべき事を確実にこなしていく。


そんなこんなで3ヶ月の月日が流れた。






「クロー、遊びに行こうぜ」


「おう、今行くから待ってくれ」


今日も授業を終えて子供達と夕方まで遊ぶ予定だ。


たった3ヶ月だが、クロはもはやこの世界の住人と遜色ない言語能力を獲得していた。


周囲の人間の支えあってこそだが、これはひとえにクロの努力の賜物だろう。


今ではみんなのお兄さん的存在だ。


アレニアもクロに子供達を任せていられるほどだ。


日々の魔法鍛錬の甲斐もあってMPは異常に増大していた。


それは勇者を凌ぐほどに。


言語に問題がないと分かった時点で、クロはまず王都の図書館に向かった。


期待していた以上の書籍が王立図書館には存在しており、嬉しさのあまり小躍りして周囲に気味悪がられたのはいい思い出だ。


学校の休みなど、時間がある時は必ず訪れることにしている。


学校の書籍も読み耽ったが、この世界の一般的な知識を得る以外には特に目ぼしいものはなかった。


クロが求めたのは、魔導を追求するための知識。


さすが王立図書館だけあって学校では得られない情報が満載だった。


だが、戦術的な大魔法や禁忌に触れるようなものを得ることは出来なかった。


というのも、500年前の大戦で多くの書籍や知識、またそれらを扱う人々が失われてしまっていたのだ。


どの歴史書を紐解いてみても、書かれていることは500年前までがほぼ限界だった。


過去の勇者の詳細なども知ることができなかった。


王城などには残されているかもしれないが、俺が触れることはまず困難だろう。


あと魔導書というものも存在しているらしく、これは一度きりの使い切りで使用者の記憶領域に魔法陣を転写させるというもの。


遺跡などから発掘されることがあるらしいが、得ることは難しそうだ。


だが、いくつかの魔法を習得することはできた。


ステータス魔法もそのひとつだ。


ステータス魔法は大衆には一般的でなく、戦闘などを生業とする者が必要とする魔法だ。


状態異常やステータス変化を知ることは、戦う上で必要不可欠なんだと。


今の俺のステータスはこれだ。


「ロード、オープン ステータス」


ーーーーーーーーーー


《名前》黒川ハジメ

《Lv》1

《種族》人間

《性別》男

《年齢》20

HP 500/500

MP 5/5 → 2790/2800

STR 10

AGI 10

VIT 10

DEX 10 → 20

INT 20 → 30

LUC 30

《称号》異世界からの侵入者

《魔法》生活魔法 攻撃魔法・全(中級)

《ギフト》悪食


ーーーーーーーーーー


やっぱMPだけ段違いだわ。


なんでこうなったかというと、欠かさず常にマナを使い続けたからだ。


それこそ無意識でもある程度は魔法球を維持できるほどに魔法を酷使した。


ステータスも少しだけ成長した。


これも魔法操作に時間を全振りしたおかげだろう。


この世界の一般人のステータスは、HPとMPを除けば平均15くらいなのだそうだ。


それを考えると、俺の初期のステータスは王女様が言ってた通り平均を下回ってたな。


軟弱な日本人とはどういうものか思い知らされるな。


初期ステータスの平均が30とかあったシロ達3人はやっぱり化け物だったんだな。


納得の勇者補正だわ。


もともと日本でも彼らにそれくらいステータスがあった可能性もあるが、これ以上は惨めになるのでやめておこう。


ここで魔法について。


俺は攻撃魔法を中級まで使いこなせるようになった。


ひとりでコソコソ練習してたからな。


学校でやっていたのは、攻撃魔法の中でも一般という区分に属するもので攻撃性はほとんどない。


魔法の区分は一般から始まり、下級、中級、上級と上がっていくようだ。


魔法陣の色で魔法は区分することができ、一般魔法は灰色だ。


火は赤、水は青、風は緑、土は茶、光は白、闇は黒となり、特殊に分類されるものは金色となるようだ。


魔法戦闘では相手の発動魔法を色で予測し対応するのが定石なため、複数の魔法を使いこなせる必要がある。


しかしひとつの魔法だけでも極めてしまえればそれだけで脅威となり得るため、それに合わせた戦闘スタイルを確立していくことが肝要だ。


今の所俺はオールマイティって感じだな。


威力は低くとも数打てるのは武器にできるな。


いずれはシロ達と一緒に戦える可能性もある。


次にステータスの役割について。


俺の上昇していたDEXとINTだが、DEXはマナを込める速度、これは詠唱速度と置き換えても問題ないな。


如何に早くマナを込めるかが魔法発動のキーになる。


INTは魔法の威力に影響し、INTが10と20とじゃ威力にほぼ倍の差がつくらしい。


STRは攻撃力、VITは防御力、AGIは攻撃や移動速度、LUCはそのまんま運に関連するステータスだな。


人に恵まれたのはこのLUCのおかげかもしれない。


ステータス上昇に加えて莫大なMPを得たが、その他のステータスがゴミなので戦場じゃ役には立たないだろう。


狙われたら逃げることも出来ぬままも一瞬で終わりだ。


世界を旅することを目標としているとはいえ、自分の身を守ることすら出来なければ、それもままならないだろう。


図書館に通って知識を得ることはできたが、戦闘技術については如何ともしがたい。


独学にも限度がある。


そうなったらやはり、学園に通う他ない。


高等魔導学園、その響きだけで胸熱だ。


今の季節は冬。


この世界にも四季に近い気候変動があり、魔導学園入学は春頃となっている。


今からさらに勉強をすれば入学に必要な学力を得ることは可能だろう。


そんな自信がつくくらいにはこの世界で努力してきたつもりだ。


あと学費や生活費についてだが、実はかなりの金銭がある。


王女様からもらったお金もそうだが、それ以上に俺は今着々と財を成しているのだ。


それはなんでかって?


よくあるだろ、異世界人ならではのものが。


だがあいにく銃を作ったり何かしらの特殊技能があるわけじゃない。


だから俺はこの世界の娯楽なども勉強し、やっぱりというかなんというかこの世界にないものを取り入れた。


リバーシやチェス、将棋といったボードゲームの類だ。


今通っている学校の子供の1人に商人の息子っていうのがいたんだ。


彼に言って親父さんに合わせてもらい、これらのボードゲームのプレゼンをするとすぐに食いついてきた。


ひとまず遊び方の説明のため一式作ってもらった。


ものづくりの職人さんが知り合いにいるというので、希望を伝えるとすぐに作り上げてくれた。


彫刻とかも魔法でできるんだから、やっぱ魔法ってずるいよな。


そのあと大体の遊び方をレクチャーした。


売り出し方は、全部をいきなり売る戦法ではなく、小出しにしていくスタイルでお願いした。


最初は店の前で実際に遊んでいるところをお客さんに見せたりして興味を引いていった。


このグランベル商店はあまり大きなものではなかったので時間はかかったが、一般大衆からの認知度も徐々に高まってきている。


最終的に貴族などに売ることができれば第1段階は完了だ。


貴族の耳に入るまで待つか売り出しに行くか迷ったが、それはお任せすることにした。


俺は本職じゃないしな。


値段はかなりリーズナブルに抑えた。


いずれ模倣品が出回るだろうし、まずはこの商店の知名度を上げる意味でも、遊び方の一番簡単なリバーシから始めた。


貴族から問い合わせがあった場合は、貴族用のものは豪華な作りのものにしてオーダーメイドも可能にしてもらうようにもお願いしている。


そして1番大切なのが商品にこの商店のマークを入れること、これを念押しした。


ブランド化させれば勝ったも同然だからな。


取り分は知識量ってことでそんなに貰わないようにしている。


あまり取りすぎるとあとで刺されても怖いし。


俺の名前を出さないでくれってお願いも。


これで俺の金銭事情は安定した。


トランプとかのカードゲームもいいかもしれない。


魔法を絡めた商品の開発も考えられそうだ。


お金があれば知識を買うこともできるし、こんな早々に安定するとは思ってもみなかったぜ。






俺が能天気に過ごしている間にも着々と魔族が力を蓄えていることに、俺はもちろん、この世界の人間は誰も気がついていなかった。

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