第2章「明人の本音」ガイドブック 1
現在、半分ぐらいまで進んでいる2章ですが、こちらもちょっと自分では予想していない展開がありました。明歌と明人はやっぱり兄妹なんだな……と思うようなシンクロめいたエピソードが勝手に出てくる感じでしょうか。気が付かれた方もいらっしゃると思いますが、全く同じセリフも言ったりします。こういったエピソードは他のキャラを書いている時にはないのですが、これから先は加納と師匠の関係の中に出てきたりします。
この小説は恋愛的なものはほとんど出てこないので、この章は珍しく明歌と隼優に少しスポットが当たっていますが、私自身はこの二人の関係にそれほど重きを置いていません。なぜかというと、人々の人生というのはそんなにメディアでコントロールされるほど画一的ではないからです。恋人であっても夫婦であってもその人の多面的な部分を把握できるわけではありません。明歌と隼優には確かに強固な絆がありますが、たとえ特別な関係でなくともそれは可能なはずなのです。ですが、恋愛至上主義的な考えでいると、それ以外の関係の尊さに気づかずに人生が終わってしまうことがあります。
また、どうしてそういうことが起こってしまうかというと、どんな人も多かれ少なかれ、誰かに愛されない自分は価値がない、と感じているからかもしれません。ですから、本当はそんなことは全く関係がないのだということも書いていきたいと思っています。
この章ではほぼ主人公の明人も純粋に明歌の兄ではありますが、やはり二人の関係は独特です。明歌には隼優だけでなく、明人や加納、誠との間にも一種の愛情が存在しています。そして、隼優と明人、加納と事務所に関わっているメンバーとの関係性も彼らの人生をユニークに彩っています。
特にそういった部分を達観してしまったキャラの1人に本若じいさんがいます。この人はまだ登場していませんが、もうすっかり人物像はできあがってしまっていて、書いていて一番気もちのいい人物です。
やはり、もう人生のレベル?のようなものが加納や隼優たちとは違うところにいるので、考え方も違うし、人生に起こってくるエピソードのスケールもどーんと大きいんですね。でも、それは彼が天才だからというワケではないのです。能力に関しては加納の方が上でね。ただ、加納のいる位置というのが、どうしてもまだ迷走してしまう状況にあります。
いろんな文献を読んでいて、私自身は何となく、人間は天才であったりするわざのようなものよりも意識の使い方で、さまざまな活動をおもしろおかしく実現できる、ということを感じ始めています。私自身も特に何か優秀なものを持っていたわけではありませんが、面白いことが次々起こるということを体験しています。
第1章で、加納がフランスと連絡をとっていて、寝不足した、というのも私自身のエピソードからとっています。みなさんは驚かれると思いますが、私は英語が日常会話レベルより下、つまり片言レベル程度でありながら、たまに海外と取引することがあります。その程度の英語で仕事?と思われるでしょう。
でも、私は何年も前から「こ~んな感じで仕事ができたらいいな」といろいろ考えていただけなんです。普通、英語を使うとなったら、それはそれは必死に勉強しますよね。人によっては資格とらなきゃ!なんて人もいるかもしれません。でも、これは本当に不思議なのですが、英語を使って海外にも売り込む、と決めた時点で、いくら勉強してもできるようにならなかった英語を習得するノウハウが目の前に出現したりするんです。
でも、英語が天才的にできたとしても、それをお仕事で活かしている方があなたの周囲にどれだけいますか?たぶんお知り合いの多い方なら思いつくご友人がいるでしょう。でも、私より英語がはるかにできるのに、それで海外とやりとりできる方ってけっこう少ないものなのですよ。
そのあなたや私の周囲にいる、天才的に英語ができるのに、活躍の場が限られてしまっている人というのはやはり意識がそのように限定方向へ向いているからだと思われます。それを解放することによって、その方は華々しくご活躍されるようになるかもしれません。
その意識を変えながら人生を切り開いていく、というストーリーをこの先も書いていければいいな、と思っています。ただ、私は基本、愉快なことを書く方が好きなので、これからもコメディ路線であることには変わりはありません。
そのため、次の更新は「その世界を照らしに」史上、最もシリアスな回と言えるかもしれないです。
次の番外編も多少シリアスですが、この先、ほぼ終盤まで登場する厄介な相手方が活躍してしまう回なので、そういうイミではコメディなのに深刻です。
次回のような展開は基本、書きません。このストーリーは若干エネルギーが強いので、まだまだ精神的には修業中の身には難しいところがありまして……そのあたりに関しては、まだいずれご説明できればと思っています。