第73話 無惨様です。
地雷除去のご褒美。
宝箱を開けた。
中身は石版だった。
職証君いわく。
「これは、『人間関係図の石版』です。
石版を手に持つとですね。
その人を中心とした、
人間関係図が盤面に表示されます。
ちなみに……、呪いはかかっていません。
だから、絶対安全ですよ」
絶対安全と聞き、
臆病なアゼレアは自信たっぷりに言った。
「よし、私が試してみよう」
アゼレアが石版を持つと、
盤面の中央に、アゼレアの顔が表示された。
アゼレアの顔を囲むように、
ウンコやルルナといった、
『アゼレアに縁のある者』の顔が表示された。
アゼレアの顔から矢印が伸び、
ウンコやルルナの顔とリンクした。
最後に、矢印の側面に文章が表示された。
その内容は、
アゼレアが『矢印の対象』をどう思っているかだ。
ちなみに、
アゼレアの人間関係図の概要は以下のとおり。
オーちゃん→気の許せる奴隷『パパ』。
ルルナ→気の許せる子分『友達』。
ウンコ→気の許せるウンコ『友達』。
残り全員→信用できない他人!
「こ、これは何かの間違いだ!
不良品だ! 誤作動だ!」
そうアゼレアは言うが、顔が真っ赤である。
「「気の許せる友達ですよ~」」
ウンコとルルナはそう言うと、
「「ウリウリ~」」
2人でアゼレアを小突き回す。
「くそぉおおお! 屈辱だぁあああ!
次はお前が恥をかけ!」
アゼレアがそう叫ぶと、石版をウンコにパスした。
「いいよ」
ウンコは余裕顔で石版を受け取った。
ふふふ。
『職業ウンコ』以上の恥など、
どの世界線にも存在しないのだ。
というわけで、
ウンコの人間関係図の紹介をするね。
ズキン→マジ天使な俺の妹、一生嫁に出さないぞ!
その他大勢→とりあえず、滅びろ!
ルルナ→ぷぷぷ、バカ騎士。
アゼレア→ぷぷぷ、ケチ魔女。
神→ラスボス。こいつだけは絶対に許さない!
いやあ、この石版。
見事に俺の気持ちを代弁してくれたよ。
でも、真実って残酷なんだ。
だから、ウンコはさ。
神・ルルナ・アゼレアによって、
すごく残酷に処刑されちゃった。
ふう、ひどい目にあった。
まあ、薬草食べて、回復したからいいけどね。
最後にルルナの人間関係図の紹介をするね。
ルルナの奴。
頭の中がお花畑でさ。
矢印が伸びた全ての人間に、高評価なんだ。
例をあげるね。
アゼレア→幼なじみの親友。
メイシーズ→尊敬すべき商売人。
神→非の打ち所のない完璧な存在。
信じられないよね。
3人とも、非の打ち所だらけのクズ野郎なのにね。
でもさ、1つだけ例外があってさ。
『ウンコ→大嫌い?』だってさ。
まあ、仕方がないか。
だって、ウンコはさ。
たぶん、人間として認められていないもんね。
でも、ウンコ1人だけ最低評価。
なんか、無性に恥ずかしいよ。
でも、ウンコは悪くないよ。
悪いのは、超絶バカなルルナなんだよ。
てな具合にさ。
言い訳をしたいのは、ウンコであるはずなのに……
「こ、これは何か間違いです。
間違いだから、間違いなので、
間違いなんですぅ!」
なぜか、ルルナが顔を真っ赤にして、
言い訳を始めた。
「ぷぷぷ、
『大嫌い』に『?』がついているってことは……
ルルナ、まさかお前、ウンコのことが……」
アゼレアがニンマリ顔で、
ルルナを小突き始める。
ここでようやく、
ウンコにも『大嫌い?』の意味がわかった。
大嫌いに疑問符。
つまり、ルルナはウンコを大嫌いではない。
むしろ、その逆。
つまり、ルルナはさ。
ぷぷぷ。
ウンコは叫んだ。
「お前、俺のことを愛しているんだなぁ!」
ルルナが大絶叫をあげた。
「きゃああああああああああああああっ!」
そしてさ。
「違います。違います。違います。違います。
違います。違います。違います。違います。
違います。違います。違います。違います。」
そう繰り返しながら、
真っ赤な顔で首を振りまくる。
超カワイイ。
でも、カワイイのはここまで。
「私はウン公さんのことが大嫌いです。
だから、こんなことができます。
姫騎士斬鉄グングニル!」
「ぐばぁあああああああああ!」
不意打ちを受け、ウンコは瀕死になった。
だが、ルルナの攻撃は止まらない。
「細切れにだって、できますよ。ほら」
「どばばばばばばばばばばば!」
「千切りにだって、できるんです」
「ぐべべべべべべべべべべべ!」
「みじん切りだって、お手の物です」
「ごががががががががががが!」
ウンコは命乞いを始めた。
「わ、わかったから……、もうやめて……」
アゼレアも助け船を出してくれた。
「そ、そうだ。わかったから、そのへんで……」
職証君だって、救おうとしてくれた。
「そ、そうです。
よく、わかりましたから、
その辺で止めておいた方が……」
なのに、ルルナの奴は言った。
「いいえ、3人とも、全然わかっていません。
だから、今から……
ウン公さんの首を切断します。
えいえいえいえい!」
「wfにぺwbfgろwりbgwfど!」
日本語が崩壊するほどの激痛をウンコは感じた。
でも、ウンコは『なかなか死ねない』
なので……
「あれ?全然、切れませんね。
ウン公さん、もっとリラックスしてくださいよ。
仕方ありません……
頭蓋骨を粉砕します。えいえいえいえい!」
「ふぁのェbふぃえwbふュqえqおh!」
「あれ? 全然頭蓋骨が陥没しません!
ウン公さんは、
カルシウムを全く摂っていないはずなのに!
仕方ありません……。
心臓を串刺しにします。えいえいえいえい!」
「jんgtャrをう4bふァ7えq03!」
「あれ? 全然、剣が刺さりません!
力一杯ぶっ刺しているのに!
この剣はミスリル製なのに!
仕方ありません……。
こうなったら、必殺技の乱れ打ちです」
ルルナは大きく深呼吸をすると、
「レーヴァテイン・バハムート」
と詠唱し、
炎の魔法剣を発動させ、必殺技を放った。
「エアウインド・ジンカッター!」
炎を帯びた真空の刃が、
ウンコにクリティカルヒットした。
「/>¶*←※♪〒(>_<)!!」
ついにウンコの口から、
言語が失われてしまった。
でも、死んではいないので、攻撃は続く。
「ボルティクス・ブルラッシュ!」
「◎♂←=×▽¶□*<(_ _)>……」
「グラビデーション・インパクト!」
「</……~〆……↑↑↓↓←→←→……(-_-)……」
「姫騎士斬鉄グングニルぅううううううっ!」
「…………………………………………………」
「ふう、やっと死んだようですね。
これで、
私がウン公さんのことが『大嫌い』なのが、
わかりましたよね?」
「あ、ああ……わかった」
アゼレアは戦慄の声で、そう言った。
「え、ええ……そ、そうですね」
職証君も戦慄の声で、そう言った。
「よかった。
なら、ウン公さん。
薬草を食べて、生き返ってもいいですよ。
ほら、目を開けて下さい。
薬草ですよ。
貴方の大好物ですよ。
ほら、早く食べて下さいよ!」
ルルナはウンコの口に薬草を突っ込み始めた。
だが、もはやウンコには……。
薬草を飲み込む力すら、失われていたのでした。
こんな具合に、
今回は本当にひどい目にあいました。
その悲惨さを、一言に凝縮するとね。
『アゼレアがエリクサーを飲ませてくれました』
蜃気楼の町で、
1本50000Gの超高級品だよ。
以上。人生『無惨様』の悲劇でした。




