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第62話 イン・ザ・ダンジョン。

ウンコ一行は、

ダンジョンに足を踏み入れた。


全員が中に入りきった瞬間。


ドカーンと爆発音がして、入り口が崩落した。


知的な現実主義者・ウンコは混乱した。

「どうしよう? 出口が!」


おバカな夢想主義者・ルルナは余裕顔で言った。

「なにがどうしようなんですか?」


「この危機的状況がわからんのか! 

 バカ騎士が!」


「バカなのはウン公さんです! 

 エアウインド・ジンカッター!」


ルルナが放った真空の刃は、

入り口をふさぐ土砂を吹き飛ばした。


「ぷぷぷ、バカなのはウン公さん、貴方です」


くそ、バカにバカ認定されちゃった。


超屈辱的だ。


まあ、仕方がないか。

ここはリアルではない。ファンタジーなのだ。


幻想世界ではさ。

夢想主義者が現実主義者で、

現実主義者が夢想主義者になる。


きっと、この世界ではさ。

『それでも地球は回っている』


と言ったら、超笑われる。


だが、ウンコは真実を言った。

「それでもウンコは頭が良いんだい!」


ウンコは知的な常識人なんだ。

むしろ、ルルナの方が野蛮な非常識人だ。

 

だってさ。


ルルナのしたことは、

物語の意図を無視した最低の行為だ。


今頃、作者は泣きながら、

プロットを書き直しているはず。


ダンジョンのギミックには作者の意図がある。


それを無視しては、物語は成り立たない。


まあ、別にウンコはさ。

あいつのことが、大嫌いだからいいんだけどね。 


ぷぷぷ、ざまあみろ。


これにこりたら、この物語のジャンルを、

『チート無双ハーレムもの』にするのだ。


ウンコが無双して、

ルルナとアゼレアを性奴隷にする話が希望だ。


いいや、そうするべきだ。

是非そうするべきだ。絶対そうするべきだ。


そうして、お願いします。

この通りです。土下座だってします。


ほら。


「ウン公さん、気が狂ったんですか?」

突然土下座を始めた俺を

ルルナが憐れむように見た。


多分、

ウンコの状況で、

気が狂わない人間はいないと思うよ。


でも、今の俺、まだ人間なのかな。



ダンジョン内部は思いのほか、明るかった。


淡い光が天井から出ている。


床、壁、天井。

その全てが大理石でできている。


通路の縦横は、高校の廊下と同じくらいの幅だ。


俺たちは一列になって、進んだ。

こういう時、RPGの常識ではさ。


まず一番前は戦士。

2番目が勇者。

3番目と4番目は魔法使い系。


だから、当然の帰結として、

以下のようになるはず。


ルルナ

=騎士=戦士系=防御力高い=1番前。


アゼレア

=魔女=魔法使い系=防御力低い=1番後ろ。


ウンコ

=勇者系=超カッコいい=ハーレム=真ん中。


なのにさ。


「なんで、か弱いウンコが先頭なんだよ?」


「当然です」

と真ん中のルルナが言った。


「理由はすぐにわかる」

と最後尾のアゼレアが言った。


本当にすぐにわかった。


ウンコは床を踏んだ。


カチリと音がした。


トラップ発動。


ウンコの踏んでる床にだけ、

100万ボルトくらいの電撃が走る。


ウンコは感電して、ビリビリ。


瀕死になってしまいました。

現在、陸に打ち上げられた魚のように、

ピクピクしています。

 

アゼレアは胸を張って、言った。

「やはり、ウンコを先頭にして、正解だったな」


ルルナは恥も知らずに、言った。

「そうですね。私たちはか弱い女の子ですもんね」


か弱いだと?


嘘をつくな。

お前ら、俺の数十倍のHPを持っているくせに。


それにな。

「こういう時は、

 1番防御力の高い戦士系が

 先頭に立つのがセオリーだろ?」


ルルナ(戦士系)は答えた。

「でも、私たちは死にます」


アゼレア(魔法使い系)が言葉をつなぐ。

「だが、ウンコは絶対に死なない」


くそ……

『なかなか死ねない』だけなのに。


ならせめて……


ウンコは訴えた。

「アゼレア、回復魔法を……」


アゼレアは即座に首を振った。

「嫌だ。MPがもったいないから」


ちくしょう!

こうなったら、薬草をやけ食いしてやる。


オーバーキュアだ。


超回復だ。


と思ったらさ。


ケチ魔女はウンコからリュックを奪い取った。


このリュックには薬草が詰まっている。


「ほら、ウンコ、食え」

そう言うと、ケチ魔女は薬草を床に落とした。


必要最低限の量だけね。


それは『21分の1枚(約4・76%)』


ウンコはHPが1になると、瀕死になる。


HPが2になると、瀕死じゃなくなる。


これらの経験則を前提とするとさ。


以下の計算式が導き出される。


21HP(薬草1個の回復効果)

÷21=1(ウンコに必要な最低回復量)


よって、瀕死になったウンコには、

21分の1の薬草で充分。


うん、イーロン・マスクも真っ青の合理主義だね。

 

ウンコは当然、アゼレアに抗議する。

「なんでこれだけなんだよ?」


アゼレアは春闘の時の経営者のような顔で答えた。

「もったいないからだ。

 嫌なら食べなくてもいいんだぞ」


「ぐぅう、食べないとは言っていない」

「なら、よくかんで食べるんだぞ」


「うるせえ。言われなくても、わかってるやい」


モグモグ、モグモグ、ゴックン。


こうして、ウンコのHPは1だけ回復した。


もはや、瀕死ではない。

歩くことだって、できる。


だからといってさ。


「おら、チャキチャキ歩きやがれ! ウンコ!」


「そうですよ。ペースが遅いです。

 やる気があるんですか!?」


そんなヒドイ言葉を吐く、

ケチ魔女とバカ騎士は最低だと思います。


ウンコは弱っているんですよ!


これは歴としたパワハラですよ!


「そう言えば、

 さっき、私のアイデアが

 セオリー外だと暗に言っていたな?」


アゼレアの言葉に、

ウンコは当然うなずいた。


「これだからウンコは……」

呆れた口調でアゼレアはそう言った。


続けて、

ウンコが先頭を歩くことが

いかにセオリ-に適っているか教えてくれた。

 

要約するね。

まず、致命級の罠を受け、

アゼレアが瀕死になったと仮定する。


アゼレアの最大HP=333。

アゼレアが瀕死になる残りHP=11。


333-11

=322

『HP満タンのアゼレアが瀕死になるダメージ量』


322÷21『薬草1枚分の回復量』

=16『小数点切り上げ』


つまりさ。

アゼレアが瀕死になった場合。


彼女を全回復させるのに、

薬草が16枚必要になる。

 

でもさ。


瀕死のウンコ『HP1』を全回復させるには、

その48分の1(約2・08%)


つまり、

3分の1枚『HPが7回復する量』で済む。


しかも、工夫次第では、


21分の1枚『HPが1回復する量』まで

使用量を削減できる。


『なかなか死ねない』

そんなウンコはHPが2あれば、

歩いて移動できるからね。


だからさ。


貴重な薬草『賞味期限切れで1個1G』を

節約できるという理由で、


『ウンコ先頭説』は合理的なのだ。


「猿でも納得できますね」とルルナは言った。


こんな暴論を納得できる奴は、

猿そのものであるとウンコは思う。


仕方がない。

こうなれば、自分の身を守れるのは自分だけ。


『自助論』の著者、

サミュエル・スマイルさんの言うとおりだった。


天は自らを助ける者を助けるのだ。


自分のことだけを考えて、

生きるのが人生の最適解だ。


これからは、絶対に自分以外は助けないぞ。


あっ、でもズキンだけは例外ね。


よし、行くぞ。


全神経を集中させて……

慎重に……

慎重に……


抜き足、差し足、忍び足……


カチリ。


あっ。


ビリビリビリビリ。

「ぎゃあああああああああああ!」


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