第56話 はったり。
現在、俺のHPは2。
弱ってはいるが、瀕死ではない。
ウンコを瞬殺できないとは、
ルルナは相当弱っていたようだった。
その後、ルルナは多数の魔法使いから、
回復魔法を使ってもらい、全回復した。
やはり、女性+王族(ズキンの義姉)
手厚い待遇だった。
それに対してウンコはさ。
「ウンコも一応弱っているんですけど……」
そう自己申告してみたんだけど、
無視されちゃった。
はい、そうですね。
ウンコ+奴隷ですもんね。
カースト最下層を突き抜けて、
異次元の存在ですからね。
とりあえず、
俺は即座にここから、バッくれることを決めた。
クラウチングスタートの姿勢を取る。
これから、俺の自由への疾走が始まる。
この練兵場を出て、
城を抜けて、
国境を越えて、ズキンに泣きつくんだ。
と思ったんだけど、風向きが変わった。
ルルナのバカ(半裸)がこう言い出したからだ。
「ウン公さん。今こそ、真の力を見せる時です」
アゼレアの顔色が少し変わった。
ルルナが得意げな顔になった。
「このウン公さん。
実は魔王ケルベロスとその眷属を1人で
皆殺しにしたんですよ」
アゼレアの顔色が青くなった。
「ま、まさか……」
チャンス! 俺は尊大に言った。
「この超バカに嘘をつく知能が
あるように見えるか?」
俺とルルナを除く、
場にいる全ての者が戦慄の表情を浮かべた。
「ふわっはっは!」
そう豪傑っぽく笑うと、俺は説明した。
1)万年大氷河を一瞬で蒸発させる、
テラフレア・ウンコ。
2)山脈をスパッと水平両断する、
斬宙真空居合いウンコ。
3)城塞を一瞬で粉々にする、
プルトニウム・アトミック・ウンコ。
4)神の攻撃をも無効化する、
イージス・ウンコ・シールド。
以上。
ぼくのかんがえたさいきょうのウンコ、
バージョン2をな。
「あと10秒で、
俺の奴隷契約書を破らなかったらさ。
城ごとお前ら全員爆殺するよ」
俺がそう宣言すると、
アゼレアは泣きそうな顔になった。
「損は嫌だ。損は嫌だ。損は嫌だ。損は嫌だ」
ぷぷぷ。
両肩を震わせて、アゼレアはブツブツ言っている。
俺はカウントダウンを始めた。
「10、9、8」
アゼレアが頭をかきむしり始めた。
「7、6、5」
アゼレアが首をかきむしり始めた。
「4、3、2」
アゼレアが口から泡を吹き出し始めた。
「1」
「待ってくれ!」
ついに、アゼレアが観念したようだ。
ぷぷぷ、ウンコ大勝利。
「ほら、
とっとと、奴隷契約書をビリビリに破くんだ!」
これからはウンコのターン。
こっちがお前を肉奴隷にしてやるぜ。
「わかった。だが、一つだけ頼みがある……」
アゼレアは弱々しく、そう言った。
往生際の悪い奴め。
まあ、俺は寛大だからな。
一応聞いてやる。聞くだけだがな。
「言ってみろ」と俺が言うと、
アゼレアは憔悴しきった顔で言った。
「わ、私は、私が損することを
自分に納得させなければならない。
だから……」
「だから、なんだ?」
「貴方の偉大な超必殺技を見せて欲しい」
へっ?
「そうすれば、諦めがつくと思うから」
ヤバい。
変な流れになってきた。
「だ、ダメだ。
そんなことをすれば、
この国全土が不毛の大地となるぞ!」
「それでもかまわない!
精神を病むよりはマシだ!」
「みんな死んじゃうんだぞ!」
「国民全員を避難させるから大丈夫だ!」
どうしよう?
アゼレアは本気で言っている。
目がマジにすわっている。
仕方がない。
ケチ狂人はバカ狂人に説得させよう。
「ルルナ!
民草のため、このケチ魔女を説得しろ!」
「わかりました」
ルルナ(半裸)はそう返事をするとさ。
胸を両手で隠しながら立ち上がり、
自信満々に言った。
「安心して下さい、アゼレア。
賢い私にが名案があるのです」
「それだと、私は損しないのか?」
すがるように、アゼレアが言った。
「はい、最小限の損で済みますよ」
聖母のような笑顔で、ルルナが受け止めた。
まあ、誰の損でも、
少ないにこしたことはないよな。
というわけで、俺は言った。
「よし、ルルナ。申して見よ」
ルルナは名案を説明し始めた。
「まず、ウン公さんに全員で
全力で一斉攻撃します」
なんか、いきなり意味がわかんないんですけど。
止めないと、と思ったんだけど。
運悪くウンコ。
タンが喉にひっかかって、せきこんじゃった。
ルルナが説明を続ける。
「そして、ウン公さんは、
究極防御魔法イージス・ウンコ・シールドを
使います」
やべえ、止めないと!
とガチで思ったんだけどさ。
これまた運悪く俺。
今度は気管にツバが入って、
再びせきこんじゃった。
「さすれば、ウン公さんは攻撃を全て無効化。
ウン公さんのすごさはバカでもわかります」
ルルナのの超絶バカ野郎!
そう叫びたいけど、俺はまだせきこんでいる。
アゼレアが突如、絶叫した。
「なるほど! すばらしい!」
ケチ魔女はガッツポーズをしながら、
言葉を続けた。
「よっしゃ、
これなら、私はウンコ分しか損しないし、
精神病にもならない」
「すごいでしょ」
とルルナ(大バカ)。
「ああ、天才だ。善は急げだ。さっさとするぞ!」
とアゼレア(糞ケチ)。
お願い、ちょっと待って。
そう訴えたいんだけれど、
まだ、俺はせきこんでいる。
「ようし、皆の者、攻撃の準備をせよ!」
アゼレアの号令を受け、
場にいる全員(俺以外)が攻撃の準備を始めた。
ここでようやく、
せきが止まった俺はおずおずと言った。
「ちょっと、
今日はお腹が痛くて調子が悪いから、
また後日ということで……」
お腹を押さえながら、
ウンコはそそくさと逃走を試みる。
だが、ルルナに首根っこをつかまれた。
バカルルナは無責任にも、こう言った。
「大丈夫です。
追い詰められれば必ず、
ヒーローは真の力が出るものなのです」
「でもウンコ。今、本当に調子悪いんだ。
今すぐ入院しなくちゃダメなんだ」
本当だよ。
もう怖くて、吐きそうなんだよ。
なのにさ。
ルルナのバカは言った。
「大丈夫です。
こういう時は、きっと神様が守ってくれます」
絶対に嘘だ。あの幼女はゴミ糞カスの性格だ。
ルルナのバカは世迷い言を続けた。
「心の底から信じていれば、
きっと神様は微笑んでくれます」
大嘘だ! 信じられるか!
あの幼女は、絶対に俺には微笑まない。
俺の不幸を大爆笑するだけだ。
その証拠に、幼女の奴はさ。
天空から嬉々として、こう叫びやがった。
「早くやるんじゃ! 皆の者! 神の命令じゃ!」
「神の許しを得たぞ! 全軍ファイアー」
アゼレアが提督風にそう叫ぶと、
一斉攻撃は実行された。
全方向から襲い来る、
全種類の物理攻撃と全属性の攻撃魔法。
ウンコは必死に回避を試みたんだけどさ。
素早さ999の小バエでも回避できそうにない、
超密度の攻撃でさ。
ウンコは撃滅されちゃった。
そんでもって、脱衣KOされちゃった。
まあ、死ねなかったからいいんだけどさ。
男の脱衣KOって、
映像的には完全にNGだよね。
というか、もはやグロ。
ああっ。
全裸のウンコは哀れにも、
瀕死でピクピクしているのにさ。
追い打ちをかけるように、ルルナが怒った。
「こういう真剣な時に、
ウケを狙うなんて最低です!」
ルルナはプンプン言いながら、去っていった。
アゼレアには当然のように、
ハッタリがバレたわけで……はあ。
この後、拷問を受けて、全て吐かされました。
ウンコの戦闘力がスライム以下とか。
魔王ケルベロスとその眷属が死んだ理由とか。
なかなか死ねないこととか。
まあ、いろいろとね。
こうして、
俺はケチ魔女の奴隷となり、
ウンコの旅は終わった。
次回から、『ルルナ姫騎士伝』が始まるよ。
こうご期待。
さようなら。




