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第55話 姫騎士と姫魔女の決闘。

俺はルルナから薬草をもらって、

体力を回復した。


それから、約2時間後。

中庭にある練兵場にて、

2人の決闘が始まった。


あのバカ騎士とケチ魔女。


性格はアレでも、人類最強クラスの強さ。


戦いは、

人知を越えた凄まじいものとなっている。


目にも止まらぬスピードで機動するルルナ。

「やあああぁ!」

と気合いの声をあげ、神速の乱れ突きを繰り出す。


負けじと、

超絶反応で防御魔法を発動させるアゼレア。


一瞬で、銀色の魔法壁が形成される。


ガキ、ガキ、ガキ、ガキ、ガキーン!


最高の剣技と最高の魔術がぶつかり合い、

凄まじい轟音が鳴り響いた。


今度はアゼレアのターン。

「死ねぇ!」


姫魔女の手から、

無数の火の鳥が放たれ、ルルナに襲いかかる。


「姫騎士はこの程度じゃ死にません!」


ルルナは剣を扇風機のように高速回転させ、

即席の盾を作り上げた。


火の鳥たちは、旋風壁に飛び込み、

細切れに粉砕された。


うわあ、超カッコええ。


やべえ、マジに手に汗握る。


観衆も皆、興奮の余り大絶叫しているしな。


この決闘を大晦日に放送したら、

紅白は来年から廃止必至だ。


俺はNHK(教育ラジオ消すなボケ!)に

がんばってほしいけど。


ここで、一つ疑問。


アゼレアの奴。

さっきから、

呪文を唱えないで魔法を発動させている。


「変だな。神の話では、この世界では、

 呪文を唱えないと、

 魔法は発動できないはずなのに」


そう俺は言った。

独り言を言ったつもりで言った。


言ったんだけどさ。


なぜか、隣にいる人間から、

返事が返ってきた。


「それは、アゼレアだけが持つユニークスキル、『詠唱キャンセラー』の効果ですよ。

 なので、アゼレアは低級魔法ならば、

 詠唱を省略して魔法を発動できるのです」


「へえ、そうなんだ。で、あんた誰?」


なんで、

人間のあんたがそこに座っているんだよ?


自由人(人間)は観客席に座り、

ウンコ(奴隷)はムシロに座る。


それが、世界の理であるはずなのに。

 

「私はアゼレアの父です」と隣の人。


「うわっ、ってことは、あんた王様?」

「はい、恥ずかしながら、そうです」

 

ウンコに話しかけるとは、

なかなかの名君である。


「でも、あんた王冠を被ってないね」

それに服装は、村人級のみすぼらしさだし。


王様は、恥ずかしながらといった感じで言った。

「王冠は黄金製なので、没収されました」


「誰に?」


「アゼレアにです。

 金の価格が暴騰しているからだそうです」

「ご愁傷様」


「それはこっちの台詞ですよ」

「なんで?」


「アゼレアの奴隷になると

 地獄が待ってますからね」

「マジ?」


「はい、私は身をもって、それを知っています」

「って、ことはあんたアゼレアの奴隷?」


「恥ずかしながら……」


王様は、奴隷生活を丁寧に教えてくれた。


まず、食事。

1G取られるけど、原価は100分の1G。


昨日のご飯は、

青カビの生えたパン1個だって。


水は有料で、1杯10Gだって。

 

次、仕事。


誰もやりたがらない汚れ仕事をやらされる。


王様の仕事は、トイレ掃除だって。


使い古しの歯ブラシ1本で、

便器をピカピカにしているんだって。


最後、休憩時間。


驚くことに、ゼロで24時間労働。


スケジュールが秒単位で詰まっているんだって。


王様は一挙手一投足の合間に、

1秒間の睡眠を10800回してさ。


なんとか、

1日3時間の睡眠を確保しているんだって。


まさに生き地獄。


だけど、契約書があるから、

王様の奴隷生活は続く。


やめられない、とまらない。


ああ、エビ味のスナック菓子食いてえな。

あれ、超美味いんだよな。


というか、そんなことよりもさ。


「ガンバレぇえええ!

 ルルナぁあああああああああ!」


俺は心の底から、そう叫んだ。

 

隣で王様は、1秒を惜しんで寝息をたて始めた。


哀れな。哀れな。


ウンコ並に哀れだ。


でも俺は、もしかするとさ。


ウンコ+奴隷=ウンコ奴隷になっちゃうんだぜ。


それって、最底辺をぶち抜いて、

異次元の悲惨さだよね。


俺はもう一度、叫んだ。

「ガンバレ! 

 聖なる麗しき姫騎士ルルナ様ぁあああ!」


ルルナは氷の熊を回避しながら、答えた。

「姫騎士道その7。

 姫騎士は常にがんばる、から大丈夫ですよ」


がんばるから大丈夫。


これって、何の根拠もないよね。


典型的なIQ低い人の台詞だよね。


こんなバカに頼るしかない、今のウンコ。


まあ、大丈夫。

ルルナは超バカだけど、超強いから。


戦いは佳境を迎えていた。

息を切らす、ルルナとアゼレア。

 

「さて、そろそろ終わりにしましょうか?」

ルルナがそう言った。


「ああ、

 これ以上は体力と魔力と時間を損するのは嫌だ」

アゼレアがそう答えた。


「レーヴァテイン・バハムート」

ルルナは魔法剣を発動させた。


超カッコいい鉄の剣の刃に、

灼熱の炎が展開される。


ルルナはカッコつけながら、言った。

「死なないように、

 ちゃんとほどほどにガードして下さいよ」

 

アゼレアはぷぷぷと笑うと、答えた。

「で、何を私はガードするんだ?」


「それは、私の魔法剣……あっ!」


ルルナは手に持った武器を見て、唖然とした。


炎の魔法剣の凄まじい熱量に、

刃が溶解していたのだ。


超カッコいい鉄の剣は、

超カッコいいだけの粗悪品だった。


アゼレアは邪悪に笑いながら、言った。

「はっはっは。降参するなら今のうちだぞ」


ルルナも邪悪に笑いながら、答えた。

「はっはっは。

 姫騎士が降参なんて

 カッコ悪いことをするもんですか。

 それに武器はまだ……」

 

今、ルルナがチラッと、こっちを見た。


やばい、ルルナのバカ。

邪剣ウンコブレードを使う気だ。


あれは、死んだ方がマシなくらいに痛い。


俺は逃げ出した。


ルルナが超速で追いかけてくる。


「いいじゃないですか! 死なないんですから!」


ルルナはそう言うけれど、

嫌なものは嫌なので、俺は悲鳴をあげた。


「助けてぇえ! 

 素晴らしき倹約家のアゼレア様ぁ!」


アゼレアは勝ち誇るように言った。

「はっはっは、

 ウンコは姫騎士ではなく、私を選んだようだ」


なぜかルルナが一瞬ひるんだ。

「えっ?」


その隙を超一流の魔道師である

アゼレアは見逃さない。


「シルフィード・ドラゴサイクロン!」


アゼレアの手から、

真空竜が放出され、竜巻を形成した。


竜巻は暴虐な威力で、ルルナを飲み込んだ。


ルルナは宙に持ち上げられ、

全身を切り刻まれ、なんと……


「きゃあああああああああ!」


脱衣KOした。

 

コスがボロボロだ。肌が見え見えだ。


脱衣KOは男の夢。


パンモロ♪ パンモロ♪ 


心の中で歌いながら俺は、

ルルナのもとに駆け寄った。


「大丈夫か?」

と一応言っておくが、

目的はセクシールルナのガン見だ。


「むっ」

乳首が露出していないぞ。


これはイカンな。


ルルナの乳首を隠す邪魔な布きれに、

俺は手を伸ばした。


これは、私欲のためではない。

全国6000万のエロ人諸君の

意志を代行しているだけなのだ。


「乳首♪ 乳首♪ ピンクの乳首♪」


はっ。

うきうきし過ぎて、

つい、声に出して歌ってしまった。


まあ、いいか。


どうせ、ルルナは瀕死だし。


そうだ。

ついでにオッパイを揉んじゃおう、

吸っちゃおう。


いや。

やっぱりオッパイに顔をうずめるべきかな。


赤子に戻ったつもりでね。


バブー。バブー。


だが、悲願は叶わず。


オッパイ天国まで、

あと3センチのところで、

ルルナの鉄拳が飛んできた。


「ぐはぁああああああ!」


吹き飛ばされながら、俺は思った。


なんで、

正義のヒーローとかヒロインとかってさ。


決まって、

最後の力を振り絞っちゃうんだろうね。


世の物語作家どもめ。


余計な慣習を作りやがって。


ドクソ野郎!


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