第48話 現実的な将来設計。
起きている時は、キャリーバッグのように。
寝ている時は、ミノ虫のように。
3日3晩、俺は首を吊られ続けたんだ。
目的地のヘニクス国の王都にたどりつくまでね。
救ってくれたのは門番だった。
ヘニクス国の王都ホーオーの
正門を守護する門番だ。
ナーガ国の門番と顔がそっくりで、兄弟らしい。
門番は、俺に薬草をパンをめぐんでくれた。
ついでに、白紙の職証もね。
ウンコ証明書なんて、いらねえのにな。
「このウンコは変態です」とルルナが言った。
「わかりました」と門番が敬礼した。
「お願いします」と言って、
ルルナは中に入っていった。
俺は一晩、外で待たされた。
その間に、門番が王都中の人間に、
変態ウンコの襲来を警報した。
翌日の朝、正門をくぐるとね。
『この都にウンコはいらない』
と書いてある横断幕が、ズラーっと並んでいた。
『ゴミ処理場の建設は反対』みたいなノリだった。
都民のクソどもは、盛大な歓迎をしてくれた。
哀れな俺に、罵声が降り注ぐ。
「「「ウンコ、帰れ! 大地に還れ!」」」
還れるなら還りたいけどね。
石つぶての豪雨の中、
俺は走って、走って、走った。
キレイ好きの都民どもは、
執拗に追いかけてきた。
しかし、奴らが昼飯を食ってる間に、
ゴミ捨て場に潜伏成功。
ウンコとゴミは、
ハエを仲立ちにして、完全に同化。
カムフラージュ率100%の完全なステルス状態。
無能な追跡者たちは、俺を完全に見失った。
夕方になると、
アフター5を楽しむために、奴らは解散した。
ウンコの勝利である。
夜になった。
当てもなく、大通りを歩く俺。
これからどうしよう?
腹が減ったけど、金がない。
金が欲しくても、
ウンコには仕事がない。
追い詰められた人間は、
生き残るために選択を迫られる。
悪と惨、どちらに堕ちていくかだ。
悪の職業の代表格は泥棒だ。
よし、泥棒でもやってみるかな。
というわけで、
ウンコの泥棒シミュレーションの始まり始まり。
ウンコは夜の屋敷に忍び込んだ。
ウンコの臭いで家の人が起きた。
ウンコは捕まった。
バッドエンド。
やっぱ、泥棒はやめよう。
よし、次は強盗のシミュレーションだ。
ええと、俺の戦闘力はスライムと互角だから……
ウンコは路地裏で都民を脅した。
都民はウンコをバカにした。
キレたウンコの攻撃。都民に1のダメージ。
都民の反撃。ウンコに30のダメージ。
ウンコは動かなくなった。
バッドエンド。
やっぱ、善良な俺に、
悪いことは無理だわ。
なので、
惨の職業の代表格である
物乞いを目指すことにする。
さっそく、シミュレーションでもするかな。
あ、でも俺はさ。
プロの物乞いさんに、
『ウンコにゃ無理だ。諦めな』
と引導を渡されていたんだっけ。
プロの言うことは絶対だからな。
うん、物乞いは諦めよう。
というか、もう働くことを諦めよう。
ウンコの俺でも生きていく方法は……
う~む。
「これだ!」
と思わず俺は叫んでいた。
雑貨屋のショーウィンドウに張られた1枚の貼り紙。
そこにはさ。
『合コンダンスパーティ』と書いてあり、
『参加費無料、誰でもお気軽に参加下さい』
とも書いてあった。
俺はショーウィンドウを鏡代わりに、
自分の顔を見た。
うん、グレートなイケメンだ。
実は俺、
モデル事務所にスカウトされたことが
何度もあるさ。
学校一のモテ男だったんだよね。
よし、俺はヒモになるぞ。
ヒモになって、女の子に養ってもらうんだ。
さっそくシミュレーション。
場所は当然、純愛の象徴。
四畳半の風呂なしトイレ共同ボロアパートだ。
ウンコは、
「腹減った」と言った。
女の子は、
「はい、イケメンさん。ステーキよ」と言った。
ウンコはステーキを腹一杯食べた。
女の子は、
「明日はウナギですよ」と言った。
ウンコは女の子にキスをした。
女の子は幸せそうに微笑んだ。
ウンコも幸せそうに微笑んだ。
ハッピーエンド。
おお、なんと完璧で現実的な将来設計。
よし、合コンダンスパーティーに突撃だ!




