第42話 物乞い少年。
幼女の話によれば、
エクスカリバーは伝説級の武器らしい。
なんで、返さなければいけないのだろう?
世界を救うために、使えばいいのに。
意味わかんねえよ。
ま、いっか。
ルルナが元に戻ったし。
バカ騎士は今さ。
超カッコいい鉄の剣をにらみながら、
ブツブツ言っている。
「気に入りませんね。超カッコいいだけです。
チャラ男みたいに軟弱です」
ざまあみろ。
バーカ。バーカ。バーカ。
バカ野郎!
今は、心の声で遊んでいる場合じゃないだろ!
今の俺は瀕死なんだぞ!
さかのぼること、約1時間前。
薬草を食べて、ウンコのHPが回復した後。
俺たちは、物乞いの少年と出会った。
少年は神妙な顔で言った。
「今日の朝、食べるものがなくなりました。
僕の瞳から、たくさんの涙が流れました。
その涙は一本の草を育てました。
草は伝説の聖剣となって、
勇者のもとに渡りました。
聖剣の名はエクスカリバー。
勇者は聖剣を振るい、
魔王ケルベロスを倒しました。
しかし、魔王を倒したことで、
聖剣は粉々に砕けてしまいました。
聖剣は、邪神ウンチを封印していました。
なので、邪神ウンチが復活しました。
邪神ウンチは、
その圧倒的な力で神様を殺しました。
そして、世界の全てに呪いをかけたのです。
その呪いのせいで、
僕の妹は病気になってしまいました。
少しずつ身体が石になっていく病気です。
不治の病です。
進行を遅らせるための薬は高価です。
だからお金をください」
だってよ。
これは完璧な作り話である。
超展開な急展開で矛盾だらけである。
で、あるにもかかわらず。
ルルナは超バカなので、全部信じちゃった。
「ウン公さん、貴方は神殺しの罰当たりです!」
「それができたら苦労しねえよ、はあ」
とため息をつく俺。
とりあえず、
一番明白な矛盾を突きつけてみる。
「昨日、
お前が頬ずりしてた剣は何カリバーだよ!」
それから俺は、少年の話の矛盾を説き続けた。
魔王ケルベロスを倒したのは、
勇者じゃなくて、ウンコであり、
ウンコは神様を殺していない。
むしろ、神様がウンコの尊厳を殺している。
名探偵ブリキュアも真っ青な完璧な論理だった。
証明を終えると、
俺は人間の理性に訴えかけるように言った。
「ルルナ、俺の言ったこと、
信じてくれるよな?」
「邪神ウンチの言葉を信じるほど、
私はバカではありません」
ルルナは理性の欠片のない超バカだった。
超バカ騎士は剣を構えながら、言った。
「妹さんは大丈夫。
この姫騎士が邪神ウンチを成敗しますからね」
というわけで、俺はさ。
邪神として成敗され、瀕死になった。
すごく痛かったのにさ。
少年は言った。
「こいつは偽物だから無駄だよ」
はっとした表情で、ルルナは言った。
「確かに。この人の名前はウンチではなく、
ウン公でした」
ルルナは謝った。
「ごめんなさい。妹さんを治せませんでした」
俺にでなく、少年にだった。
「せめてこれを受け取って下さい」
ルルナは、
現金と食料と道具類をリュックごと全部、
少年に渡してしまった。
この愚行を、瀕死の俺に止められるはずもない。
「ありがとう! 姫騎士のお姉ちゃん!」
少年は満面の笑顔で去っていった。
「姫騎士として当然のことをしたまでです!
妹さんを大事にしてくださいね!」
ルルナも満足げな顔で、少年を見送った。
そして、現在に戻る。
ルルナは鉄の剣を持って、
まだブツブツ言っている。
俺はまだ、瀕死でピクピクしている。
鬼滅の○のラスボスよりも、
俺の人生の方が『無惨』だよね。
ああ……
薬草は全て、
少年が持っていってしまった。
これからどうしよう?




