第37話 ウンコ、バッドエンド。
革命が起きた。
大臣の報告によると、首謀者は姫騎士ルルナ。
側近として、ジャイ母と……。
なんと、ソフトクリーム屋の兄貴がいた。
嘘だろ?
シャレになんないよ。
トラウマ級におっかないから、兄貴にだけは手を出さなかったのに。
しかもこの3人、伝説の武器を持っているそうだ。
ルルナは、聖剣エクスカリバー。
ジャイ母は、天槍ゲイボルグ。
兄貴は、剛槌ミョルニル。
ルルナが天空宮殿にて。
『ウンコ討伐の勅書』と一緒に、幼女から受け取ったんだって。
おのれぇえええ! 神めぇえええ!
革命軍は今、王都に向かって進軍してきているらしい。
総勢3000人余。
老人や女子供までもが武器を持ち、
『ウンコを殺せ』と叫んでいるそうだ。
俺は大臣に命令した。
「全国民を招集せよ。老人や女子供までもだ!」
大臣は土下座しながら、
「かしこまりました!」
と返事をすると、上目遣いで言った。
「老人と女子供は後方支援でよろしいですね?」
俺は激怒した。
「ふざけるな!
今まさに、ウンコ存亡の時。
赤子も含めた全員に武器を持たせろ!」
「そ、そんな……」
そう言って、絶句する大臣。
その耳元で俺は叫んだ。
「ウンコビックバンで宇宙を破壊されたいかぁ!」
大臣は頭を床にこすりつけながら、答えた。
「はははぁ! 仰せのままにぃ!」
こうして、国家総動員法と国民皆兵制度が発令。
総勢30000万人余のウンコ軍が誕生した。
次の日。
王都近くにある、ヨルムンガンド大平原にて。
ウンコ軍と革命軍は対峙した。
革命軍は全員、赤い頭巾を被っていて、軍旗には、こう書いてあった。
『ウンコすでに死す、赤頭巾まさに立つべし、便所掃除は今、天下大吉』
むほほ、革命軍の奴ら。
自分から死亡フラグを立てやがった。
俺の元いた世界ではな。
黄巾党の反乱は鎮圧されたんだよ。
曹操や劉備や孫堅。
そう、つまり俺みたいな英雄たちによってな。
加えて、俺には必勝の策がある。
老人と女子供を最前線の最先頭に配置したのだ。
名付けて、『ウンコ非情の策』。
これでルルナたちは、
『姫騎士道その3。姫騎士は卑劣な事は絶対にしない』
及び、
『姫騎士道その63。姫騎士は老人と女子供を大事にする』
なので、手も足も出ないはずだ。
ぷぷぷ。
後は、10倍の戦力でフルボッコにしてやる。
いざ、決戦よ!
俺は采配を振り下ろし、命令を叫んだ。
「赤子を抱いた老婆を先頭に、俺以外の全軍突撃ぃ!」
ウンコ軍3万余は、疾風怒濤の勢いで駆け出した。
でも、なんで……。
ウンコ軍は茶色のウンコ旗ではなく、白旗を持っているんだろう?
革命軍とぶつかっても、全然戦おうとしないし……。
マジに、なんで?
疑問の答えはすぐにわかった。
ウンコ軍全員は、そろって投降すると、革命軍と合流して合体。
程なく、
『ウンコすでに死す、赤頭巾まさに立つべし、便所掃除は今、天下大吉』
と書かれた白旗が、大量に上がった。
ちくしょう。
あいつら、裏切りやがった。
ぽつんと1人残された俺は、とりあえず叫んでみた。
「俺を殺したら、ウンコロナ・ウイルスで人類が滅亡するぞぉ!」
でもさ。
ウンコの叫びは、圧倒的な怒号にかき消された。
「「「ウンコくたばれやぁああああああ!」」」
怒りに我を忘れた3万3000人余が、疾風迅雷怒濤の勢いで突撃してくる。
俺は全速力で逃げ出した。
でも、俺の素早さは、5しかないからさ。
すぐに、ジャイ母に追いつかれてしまった。
「ゲイボルグ・エクスキューション・突き!」
「ぐはぁああああああ!」
光速の乱れ突きを受けてさ。
俺は宙に舞い上がった。
そこに兄貴がやって来て、馬車から跳躍。
「ファイナル・ハンマー夜露死苦ラッシャー!」
「どぼぼぼぼぼぼぼげぇえええ!」
超絶怪力で振るったハンマーに叩かれてさ。
俺の下半身は、釘のように地面に埋め込まれた。
ウンコ、動けなくなっちゃった。
そこにやって来たのはルルナ。
「こ、高貴なる姫騎士ルルナ様、お慈悲を……」
俺は必死に、そう命乞いをした後、こう訴えた。
「姫騎士道その27、姫騎士は命乞いする者を殺さない。ですよね」
なのにさ。
あのバカ騎士は、こう言いやがった。
「姫騎士道その502。ただしウンコは例外とする」
そんなぁあああ!
「観念なさい、姫騎士斬鉄グングニル!」
えっ、なんで使えんの? 適当にでっちあげた厨二技なのに?
「あぎゃびゃきゅゃぴょろごろぱぁ~!」
こうして、ウンコの天下は終わり、処刑タイムが始まった。
革命軍全員が一列に並び、1人ずつ棍棒で俺を殴る。
「ぐばぁ! ぐぼぉ! ふげぇ! ふがぁ!」
ルルナがホイッスルを吹いた。
「ピピー、メイシーズさん。1人3発までですよ」
「あ、すまん、つい4発殴ってしまった。でも、スッキリ」
メイシーズは満面の笑顔で去っていった。
行列の連中は全員さ。
『ジェットコースターに乗る前』みたいに、今か今かと待ちわび顔だ。
「ルルナ、わしが殴るまでに死なないだろうな?」
元大臣(その前は王様)がそう言った。
ルルナは巨乳をバンと叩きながら、答えた。
「大丈夫です、父上。ウンコは『なかなか死ねない』と、神様が言っていました」
「そっか、なら安心だな」
安心じゃねえよ。
つうか、こんなスキルいらねえよ。
もう死にてえ。
でも、なかなか死ねないんだよね。
それから3日3晩。
処刑タイムは続き、
老人や女子供。そして、赤子までもが、俺を殴った。
全員がストレスを解消すると、革命軍は解散し、みんな去っていった。
下半身が地面に埋まった、瀕死の俺を残してな。
痛い。
生きているのが不思議なくらい、全身が痛い。
腹減った。
腹と背中の間の感覚がなくなるくらい、腹が減った。
死ぬ、死ぬ、死んじゃうよ。
でも、なかなか死ねないんだよね。
誰か助けて。
と思っていたら、天から声が届いた。
「これに懲りたなら、もう金輪際、神に逆らわぬことじゃな」
幼女、いや神様だ。
「わかりました。助けて、神様」
と俺は言ったのにさ。
「はっはっは、うひゃひゃひゃ! 腹痛えぇ!」
と幼女はひとしきり笑った後。
「じゃあな」と言った。
それきり声は聞こえなくなった。
俺は最後の力を振り絞り、叫んだ。
「おのれぇえええ! 神めぇえええええっ!」




