第34話 ウンコ、調子に乗る。
神である俺の一日。
朝、宿屋クリーンにて目覚める。
宿代は、ウンコ特別価格=無料で、毎日部屋を変える。
朝飯は、パンダぷるというパン屋でとる。
清浄な神である俺は、トレイもトングも使わずに、手づかみでパンを食べる。
当然、無料で食べ放題。
でも、無料で食べるのは、少しだけ気が引ける。
なので俺は、店のパンを1つ残らずベタベタ触って、価値を上げてやる。
『神の触ったパン』なら、即座に売り切れ確実だ。
アルバイト店員の女の子と、その恋人の優男は泣いていたけどさ。
俺は神だから、気にしない。
リア充は大嫌いだ。
爆発させないだけ、ありがたいと思え。
食後の運動として、散歩をする。
ついでに、昔の俺をいじめた奴。
特にさ。
正門で石を投げてきた奴と、銀行強盗でのリンチに参加した奴を探す。
見つけたら即、土下座させる。
神である俺は寛大だから、その後に許しの証として、抱きつく。
頬ずりまでする。
みんな感激のあまり、ゲロ吐いて失神する。
俺は王様でもあるので、一応、政治もする。
今日は役人の給料を平均50%カットした。
日本の公務員様に比べて、この世界の役人は弱者に厳しいから、当然の処置だ。
職案の連中は、やる気がないからさ。
特別に80%カットした。
衛兵特殊部隊の連中は、金の亡者だからさ。
反省をうながす為に、超特別に90%カットした。
王都第1師団の連中は、数の暴力の卑劣さを理解させる為にさ。
超々特別に95%カットした。
ズキンを虐待した村人どもの年貢はさ。
至極当然、99%にした。
「これでは彼らは飢え死にです」
大臣(元王様)がそう言うけど、俺は気にしない。
パンがなければ、ウンコを食べればいい。
正午前。
朝市に昼飯を買いに行く。
どの露天にも、神皇帝産ウンコ(肥料)が売っていて、1個999Gである。
ウンコ(肥料)の販売にはノルマを課している。
達成できない奴は当然、出店免許を剥奪だ。
だが、俺は寛大なので、ノルマは1日1個である。
なのにさ。
前と比べると、露店の数が半分くらいに減ってしまった。
やる気出せよ。
気合いだぞ、本当に。
仕事は1日1時間。
午前中にすると決めているので、午後はフリータイム。
まずは教会に行って、祭壇に座って、僧侶たちに祈りを捧げさせる。
ちやほやされて、超気持ちいい。
ちなみに、司教の奴はまだ牢獄にいる。
他の僧侶たちは全員さ。
『臭さ345のウンコ』を牢獄に放り込んだら、悔い改めたのにね。
なんで、あいつ。
俺の偉大さがわからないんだろう?
俺は寛大なんだよ。
ゴキ夫を殺した看守をクビにしないで、ウンコ牢の番人にしてやったんだよ。
寂しくないように、正門の門番も、同じ仕事に就けてやったんだよ。
なのになんで?
まあ、いっか。
神気分を満喫した後は、川の上流に水を飲みに行く。
もし、青空教室(エロ本鑑賞会)が開かれていたら場合。
「この汚らわしき変態どもめ!」
と罵った後、エロ本を全部没収し、俺の懐に入れる。
俺は川で水浴びをしながら、水を飲む。
最近、愚民どもから、
『下流に住む民(特に子供たち)が腹を壊している』
と苦情が出ているが、俺は気にしない。
人間はキレイ好きが過ぎると、免疫力が弱くなるからね。
これも教育の一環なのだ。
喉を潤したら、小遣いを下ろしに銀行に行く。
国の財布=俺の財布なので、下ろし放題。
だったんだけどさ。
最近、残高が少なくなってきたので、民の預金から少しずつ拝借。
民の物は神の物。神の物も神の物。
これ、世界の理。
下ろした金は、2時間ぐらいで使い切る。
一文なしになった、俺はさ。
プチ貧乏気分を楽しみながら、当たり屋ごっこをする。
成功率100%。今日は5000Gの収益だ。
やっぱり、この必殺ワードが効いているのかな。
『おらぁ、運が付いたんだから、金よこせ!』
ぷぷぷ。
ウンコと運をかけた俺。
ギャグセンス抜群でマジ偉大。
当たり屋の収益は、ウンコカレー屋に全額投資する。
もちろん店主は、あのスパイスの達人だ。
『1ヶ月以内に王都一の名店にしないと、死刑だ』
と言ってあるので、彼は今、必死に頑張っている。
カレーの材料は、超一流農家のジイさんから買っている。
最初、ジイさんは顔を真っ赤にして、
「そんなゲテ物にワシの芸術的作物はやれん!」
と言っていたけどさ。
ウンコ牢に一晩入れたら、
『ウンコカレーの芸術性』を理解してくれた。
店主は今日も徹夜で、ウンコカレーの研究をするらしい。
もちろん、食材をごまかしたりは絶対にしない。
俺の偉大さに、心からひれ伏しているのだ。
マキャベリさんが『君主論』で言っていたとおりだ。
君主はなめられちゃダメなのだ。
でも、マキャベリさんはこうも言っていた。
恐れられつつも、愛されるのが一番だってね。
というわけでさ。
人気取りのために俺は、毎日物乞いたちに施しをしている。
慈悲深い俺は、物乞いたちを愛している。
特にお気に入りなのはこいつ。
元メイシーズグループ会長。グラン・メイシーズだ。
神皇帝になった俺は、最初にさ。
メイシーズを神不敬罪で逮捕し、全財産を没収した。
メイシーズ銀行は今、ウンコ銀行に名を変えている。
メイシーズは俺を見ると、ひどくおびえる。
「許して下さい」と土下座してくる。
もちろん俺は、彼を許しているからさ。
特級のウンコ(時価5000G)を渡して言う。
「これを売って、うまいもんでも食いな」
だが、なめられてはいけないので、こうも言う。
「お前、これ売った金以外で買い物するの禁止だからな」
デブ、どんどんやせていって、今はガリガリ。
あいつ、商売の才能なかったんだな。
夕方、急な仕事が入った。
衛兵が、ウンコ類憐れみの令の違反者を逮捕したらしい。
俺は勤勉なので、速攻で裁判所に向かう。
罪人は、貴族♂(あの時の検察官)と、シスター♀(あの時の弁護士)。
貴族の罪状は、野グソを放置したこと。
シスターの罪状は、黄金のウンコ部屋を汚いと罵ったこと。
復讐のチャンスだ。
俺は3秒で判決を下した。
2人とも、ウンコ牢にて終身刑。
なんだけどさ。
シスターはちょっとかわいかったので、神のほっぺにキスで許してあげた。
だが男は死ね。
特に、貴族みたいなリア充は死ね。
腐って、崩れて、ミゼラブれ。
地獄ですり潰されろ!
その後。
夕飯を食べて、公衆浴場でたっぷり垢を落として、俺は寝た。
ああ、超幸せ。
でも、3日後。
ズキンがいなくなった。
国の預金の半分と、城の全食料がなくなっていた。
俺、ズキンから裏切られちゃった。
もう、誰も信じられない。




