第31話 ウンコ、己の偉大さを知る。
これからどうしよう?
とりあえず狼魔族から、服パクって着たけど。
腹減ったよ。喉も渇いたよ。
もう動けねえ。
このままじゃ死ぬ。
だけど、俺はさ。
『なかなか死ねない』んだよね。
腹時計で約30分後。
夕日をバックにして、ルルナが馬に乗ってやって来た。
後ろに乗っているのは……。ズキンか?
ズキンは馬から降りると、泣きながら走ってきて、俺に抱きついた。
「バカ! バカ! お兄ちゃんのバカぁ!」
ズキンはそう叫びながら、俺の胸をポカポカ叩き続ける。
ああっ。
『320』って数値が、ウンコの臭さで本当によかった。
もしそれが、ウンコの体臭で、
「お兄ちゃん、臭いから大嫌い」
とズキンに拒絶されたらさ。
間違いなく、俺は自殺していたね。
遅れて、ルルナがやって来た。
「ごめんなさい。私、嘘が苦手で、全部バレちゃいました」
「まあ、そうだろうな。ズキンは頭がいいからな」
そんで、お前はバカだから、仕方ないよ。
あと、ありがとな。
『姫騎士道その2 姫騎士は嘘をつかない』
を破ってまで、嘘ついてくれて。
ルルナが、屍だらけの大草原を、ぐるりと見渡すと言った。
「本当にすごいですね。どうやって倒したんですか?」
俺は答えた。
「邪神によって、封印されていた聖印が目覚めた。
それ故、真の力が解放され、それで倒した」
「邪神、聖印、カッコいいです! 真の力とは、いかなる物なんですか?」
目をキラキラさせるルルナに、俺は教えてやった。
狼魔族を消し炭にする、灼熱ウンコ。
狼魔族を真っ二つにする、風刃ウンコ。
狼魔族をバラバラに吹き飛ばす、爆弾ウンコ。
以上、ぼくのかんがえたさいきょうのウンコをな。
「恐れ入りました!」
ルルナが尊敬のまなざしで、俺を見てくる。
「弟子になりたいか?」
「はい! 師匠!」
こうしてルルナは、俺の弟子になった。
俺たちは村に帰った。
朝の始まりのことだった。
到着するや、ルルナは村人たちに俺の偉業を語り始めた。
その結果。
『ぼくのかんがえたさいきょうのウンコ』
を村人全員が信じてしまった。
グッジョブ! バカ弟子!
俺は村人全員を広場に集めた。
みんな怯えている。
鉛の斧のオッサンを椅子代わりにしながら、俺は宣言した。
「ズキンは俺が引き取るぞ」
ズキンを所有していたのは、ジャイ母だった。
「ははあ、仰せのままに」
そう言って、ジャイ母は土下座した。
超気持ちいい。
そんな気分に水を差すように、ジャイ○ンがボソッと言った。
「ズキンはうちの奴隷なのに……」
「貴様ぁあああ!」
俺はそうキレると、ジャイ母にジャイ○ンを、
『飯1週間抜きの刑』に処するように命令した。
ジャイ○ンは泣き出した。
マジ最高。
「タケオは育ち盛りの子供です。私がご飯を抜きますので、お慈悲を……」
ジャイ母がそう懇願してきたが、ふん。
俺はズキンをバカにする奴は、絶対に許さないのだ。
俺は残虐に叫んだ。
「貴様ら、ジェノサイドウンコで皆殺しにされたいかぁ!」
震え上がる村人ども。
うん、ズキンを村長の家に寝かせといてよかった。
ルルナのバカも、
『狼魔族の残党が来るかも』
という理由で、村の外に待機させているしね。
「はははぁあああ! お許しをぉおおお!」
狂ったように、地べたに頭をこすりつけるジャイ母。
その頭を踏みつけながら、俺は言った。
「俺の名はなんだ?」
ジャイ母は悩みに悩んだ末に、答えた。
「ウン公様です」
ブー。ハズレだ。
「貴様ぁ! ボルカノンウンコで村を灰にされたいかぁ!」
「ひぃいいいいいいっ!」
ジャイ母はそう悲鳴をあげると、白目をむいて気絶しちゃった。
「ウン公様、お許しを。私が答えますので」
と村長が言ったので、
「うむ、申してみよ」
と俺は寛大に言った。
「貴方は、天上天下唯我独尊にして究極英雄。ヘラクレス・ウン公様です!」
ピンポ~ン。大正解だ。
「うむ、さすがは村長。我の真名をよく見抜いた!」
「「「ヘラクレス・ウン公様! バンザイ! バンザイ! バンザイ!」」」
村人全員が、俺の真の名前を叫び、称えた。
こうして俺は、究極英雄ヘラクレス・ウン公となった。
ヒャッホ―。
俺、マジ偉大。




