第28話 ウンコ、ドナドナる。
ある晴れた昼下がり。どこかへ続く道。
荷馬車がゴトゴト、ウンコを載せて行く。
とても汚いウンコさえ。
キレイに果たして、死ぬるのだろうか。
ドナドナ、ドナドナ、決意をたたえ。
ドナドナ、ドナドナ、はかない命。
「ルルナ」
俺は樽の中から、そう言った。
ルルナは変に優しい声で返した。
「何ですか? 何でも言って下さい」
昨夜。
俺は村長に、『俺がズキンの身代わりになる』と申し出た。
俺はこれから、魔王ケルベロスに生きたまま食われる。
泣きたいくらい怖いけど、覚悟はできている。
でもさ。
1つだけ、心残りなことがあるんだ。
俺はルルナに言った。
「ズキンを頼む。本当に優しい子なんだ」
ルルナのすすり泣きが聞こえてきた。
「ううぅ……。貴方、本当に善いウンコですね。
わかってます、ズキンは今日から私の妹です」
俺は、ほっと胸をなで下ろした。
約束の場所に着くまでには、まだ時間がある。
荷馬車を引く馬に乗るルルナに、俺は遺言を託すことにした。
自分でも驚くくらい淡々と、今までのことを話した。
ルルナの号泣が聞こえてきた。
「そ、そんなひどい仕打ちを受けたのに……。
貴方はただのウンコで踏みとどまった。偉大過ぎます」
そうだ。
俺には、RPGのラスボス以上に、世界を滅ぼす動機がある。
邪神ウンコになっても、全然おかしくなかったのだ。
よく聞け! セフィ○スなんてイケメンよりもな!
俺の方が、ずっとずっと、世界と人類を憎んでいるのだ。
それを1人でも知ってくれたのならば、もう思い残すことはない。
と言いたいところだけど、まだあったので、言った。
「俺は究極勇者の仲間になって旅に出た。ズキンにはそう言っておいてくれ」
男は死んだ後も、カッコつけないとね。




