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第24話 ウンコ、裁判を受ける。

 まず、裁判長(国王)が拷問官を脇に控えさせて、言った。

「ウンコに黙秘権はない」

 俺は思わず、叫んだ。

「いきなり人権無視かよ!」

 

 だが、これは失敗だった。


『ウンコのくせに生意気だ』という理由で、俺は拷問された。

 頭蓋骨粉砕器、超痛かった。

はいはい、わかりました。

 ウンコに人権はないんですね。

 

 拷問終了後。

 休憩時間もなしに、裁判長が言った。

「被告ウンコ、名前と年齢と職業と本籍と現住所を述べよ」

 

 せめて、被告人と呼んでくれよ!

 そう叫びたいのをこらえ、俺は正直に答えた。

「ウン公。16才。職業はウンコ。無国籍。根無し草です」


 ああ、すごく恥ずかしい。

 クラスのみんなの前で、担任の先生に、

「○○君をイジめるのはやめましょう」と庇われた時以上に、恥ずかしい。


「裁判長!」

 検事(貴族♂)が手を挙げて、そう叫んだ。

「発言を許す」

 

 裁判長は威厳深く、そう答えた。

「被告ウンコは嘘をついています」

 

 なに言ってんだ、このクソ検事?


「根無し草ではなく、根無しウンコではないでしょうか?」

 どうでもいいじゃん。そんなの。


「ですので、厳罰を要求します」

 ふざけやがって!


「裁判長!」

 俺は手を上げて、そう叫んだ。


「ウンコの発言は認めない!」

 裁判長は断固とした口調で、そう答えた。


「ですが!」

 俺は食い下がった。

 

 裁判長は激怒した。 

「うるさい! ウンコのくせに生意気だぞ! 拷問官、レッツゴー!」

 

 はあ、水責めって痛くないけどさ。

 痛い方がマシだって思うくらい苦しいんだぜ。


『不用意な発言は控えよう』

 俺はそう心に決めた。


 壁の時計で、30分後。

「はあ、楽しかった。さて検事、起訴状を読むのだ」

 

 裁判長にそう言われ、検事が起訴内容を説明した。

 俺の罪は以下の通りである。


その1 暴行罪―― 正門付近にて、無垢の民にウンコを投げた。

    あいつらが先に石、投げてきたんだけどね。


その2 威力業務妨害罪―― 宿屋をおどし、法外な価格で泊まろうとした。

    9999Gってぼったくり価格を提示したの、宿屋の方だからね。


その3 婦女暴行罪―― パン屋の女の子に触れた。

    ビンタされただけだけどね。


その4 環境汚染罪―― ウンコを王都にばらまいた。

    えっ、俺は肥料をばらまいただけですよ。 


その5 不法侵入罪―― 勝手に職業案内所に入った。

    えっ、公共の建物なのに入っちゃダメなの?


その6 教育妨害罪―― 青空教室で学ぶ若者たちの邪魔をした。

    それ、カモフラージュだよ。

    あいつら、ルルナの水着姿を鑑賞していただけなんだよ。


その7 脅迫罪―― ルルナ姫を人質にして、職を無理矢理紹介させた。

    どうすれば、ウンコLV1が姫騎士LV50を人質にできるんだよ?    

その8 殺人未遂罪―― カレーにウンコを混ぜた。

    店主は腐った食材でカレーを作っていたんだよ。


その9 わいせつ物陳列罪―― 朝市でウンコを売った。

    ウンコじゃない肥料だ。何度も間違えるな。


その10 交通妨害罪―― 物乞いを装い、メインストリートを封鎖した。

     いや、あいつらが勝手に迂回しただけだからね。


その11 器物損壊罪―― 当たり屋をして、馬車を汚した。

     その後に俺、身ぐるみをはがされたんだけどね。


その12 神不敬罪―― 教会に入ろうとした。

   俺は一応、神の使者なんですけど。


その13 強盗罪―― ウンコの分際で銀行強盗をした。

     そこまで追い込んだのは、全部お前らの責任だ。


 裁判長は棍棒を持ちながら、言った。

「検事の言った内容に、間違いはないか?」


 裁判長は、すごく棍棒を使いたそうな顔をしていたので、

「はい」と俺はうなずいた。

 

 でもさ。

 

 殺人未遂罪だけはシャレにならないので、俺はカレー屋の悪口を言った。


「でもあの店主は、労働基準法を無視しました。

 俺を時給1G・24時間労働で働かせました」

 

 弁護士(シスター♀)が手を挙げて言った。

「裁判長、情状酌量の余地があります」

 そのとおり。良いことを言うな。

 

 裁判長は即断した。 

「うむ、そのとおりだな。カレー屋、無罪!」

 

 そんな横暴あるか! 

 弁護士さん、助けて!

「ご英断。ありがとうございます」

 弁護士! お前は誰の味方なんだよ!?

 

 はあ。

 こいつら、クズにも程がある。

 

 特に裁判長(国王)のクズはさ。

 1人の人間の命がかかっているのに、鼻をほじって、こう言った。

「さて、我はもう『ウンコ遊び』に飽きた。よって検事、求刑を頼む」

 

 検事は虫けらを踏みつぶすような、罪悪感の欠片もない声で言った。

「は、裁判長。検察は死刑を求刑します」


「異義あり!」と俺が叫ぶと、

「異議なし!」と弁護士が叫んだ。


「うむ、結論は出たようじゃな」と国王は満足げに言った。

「出てねえよ!」

 

 だが、俺の魂の叫びは、華麗にスルーされた。

 

 裁判長はノリノリで判決を言い渡した。

「ウンコ、死刑!」


 俺の人生オワタ!

 と思ったら、裁判長がさ。

「と言いたいところなんだが、こいつ、神の使者なんだよね」

 そう心底不満そうに言った。


「そうなんですよね」

 検事が悔しそうに、そう言った。


「臭くても腐っていても神の使者なんですよね」

 弁護士が恨めしげに、そう言った。


「「「どうしよう?」」」

 そう声をそろえると、3人は相談を始めた。


「で、どうする? 検事?」

「陛下、とりあえず、終身刑でいかがでしょうか?」

「ダメです! 陛下! 囚人と看守にも人権があるのですよ!」


「弁護士の言うとおりだ。やっぱ死刑。神に隠れてこっそり殺ろう」

「で、誰が殺るんですか?」


「えっ、検事。お前じゃないの? 男だろ、お前」

「陛下、謹んでお断りいたします。先祖伝来の宝剣が汚れますので」


「じゃあ、弁護士。シスターメイスで撲殺して」

「PTSDの補償はしてくださると、受け取ってよいのですね?」


「いくらだ?」

「ウンコの死に様はグロいので、最低99万9999Gです」


「高いぞ! 払えんぞ!」

「「だが、妥当なのです! 陛下!」」

「そ、そうなのか……。はあ、仕方がない。判決を決めたぞ」


 こうして相談を終えると、裁判長は適当な口調で言った。

「ウンコ、王都追放。もう戻ってくんなよ」

 

 そうですか。

「感謝しろよ」

 しねえよ。


「なにてめえ、黙ってんだ。

 あ、そうか、感動の余り、言葉が出ないんだな」

 

 違えよ。


「よし、ウンコの割には殊勝な態度だ。

 褒美に発言を許す。何でも言うがよい」

 

 よし、言ってやるよ。

 俺は、裁判長(国王)の後ろの壁に貼られた国旗を指さして、言った。

「あれに書かれてるの、ウロボロスですよね?」


「そのとおりじゃ。カッコいいだろ?」

 国王(裁判長)は鼻高々に、そう言った。

 

 俺は恭しく、うなずいた。

「はい、『身を食らう蛇』。

 貴国を、真に見事に象徴されておられます」


「どういうところがじゃ? ウンコ、遠慮はいらん。申してみよ」

「はっ、かしこまりました」

 

 こうして、俺は国王陛下様に申し上げることになったのだが……。

 一応、真面目な良い子のために前置いておくぞ。

 

 これから、俺が言うことは、極めて汚い。

 不快な気分になる人もいるかもしれない。

 だが、わかって欲しい。

 

 ウンコはとっくの昔にキレていたのだ。

 

 俺は、リミットゲージMAXの怒りを吐き出すように、叫んだ。


「尻食ってるところがだよ!

 尻食ってるってことはさ!

 尻から出てくるウンコも食ってるってことだよな!

 つまりウロボロスは、『クソ食らう蛇』だ!

 ぷぷぷ、お前ら全員、『クソ食らう国』のクソ人間だ!

 ウンコ、ウンコ、ウンコ、ウンコぉおおおおおお!」

 

 俺は大量のウンコを召還すると、乱れ投げした。

「クソ食らえ! クソ食らえ! クソ食らえ! クソ食らえぇえええ!」

 



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