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第21話 ウンコ、天職を見つける。

 運命って信じるかい?

 俺は信じるよ。

 ステキな出会いがあったんだ。


 今朝、公衆便所を見つけた。

 なんとそこは、水が飲み放題。

 加えて、壁には貼り紙が貼ってあった。

『掃除スタッフ急募 時給3G 職業など全て不問』

 

 運命だよね。

『ウンコお断り』と書いていないんだもん。

 

 ウンコから、ウンコ汚れを掃除する人。

 うん、無理のないクラスチェンジだ。

 これぞ、俺の天職。


 面接を全裸で受けるわけにいかないので、俺は身なりを整えることにした。

 河原で抜いた草で、腰巻きを作って身にまとうと、俺は面接会場に向かった。

 

 そこは豪邸だった。

 まあ、当然である。

 

 王都一番の金持ち。

 銀行、雑貨店、農園などを傘下に持つ、メイシーズ財閥の長。

 

 グラン・メイシーズ様のお屋敷なのだ。

 

 門の前で、呼び鈴を鳴らすと、老執事が出てきた。

 そいつに案内されて、俺は会長室に入った。

 

 中にいたのは、ウンコから身ぐるみをはいだ、デブだった。

 デブは言った。

「ちっ、当たり屋のウンコか」

 

 ちっ、覚えていやがったか。

 

 俺は土下座をして、非礼をわびた。

プライドなど、この際どうでもいい。

 

 衣食住足りて、プライドを知るのだ。

 最々々低な職業でも、俺は異世界を生き抜く。

 

 そのためには、プライドなど不要だ。

 喜んで、捨ててやるよ。

 今、俺はそう心に誓った。


なのにさ。


 俺の頭を踏みつけながら、デブは偉そうに言った。

「ウンコが掃除すると、逆に汚れる。消えろ」

 

 さっきの言葉、やっぱ訂正するわ。

 衣食住足りなくても、プライドはある。

 

 最低・最悪・最弱ですけど、生きる意志はある。

 生き抜くためには、プライドが必要だ。

 

「屋敷の外でトイレを借りてきます」

 俺はそう言うと、屋敷の中のトイレをこっそり借りた。

 

 銀座の百貨店よりも、ピカピカなトイレだった。

 俺はウンコを使って、掃除してみた。

 トイレは超汚れた。

 

 ざまあみろ。

 

 だけど、まだ気が済まない。

 俺は、ウンコをペンキ代わりに使って、壁にウンコの絵を描いた。

 端には、ちゃんと、以下のように銘打っておく。

『題・崇高なるウンコ様。作・グラン・メイシーズ』

 

 ぷぷぷ。

 これでスッキリ。

 心の便秘が解消だ。


 俺は最後の挨拶をしに、社長室に戻った。

 

 俺は恭しく言った。

「貴方の言うとおりでした」

 実験して確かめたから、文句のつけようもありません。


「最後に一つだけお願いがあります」


「はっはっは。なんだ、クソウンコ?」

 デブは性格の悪そうな笑顔で、そう言った。

 俺を屈服させたつもりで、上機嫌のようだ。


「せめて、あの30Gを返して下さい」

 俺はそう訴えた。

 あれはズキンからもらった大切なお金なんだ。

 

 なのにさ。


 あのクソデブ野郎は言った。

「無理だ。汚かったから、肥だめに捨てたからな」


 俺は屋敷を出ると、王都中の肥だめを探した。

 でも、銀貨は1枚も見つからなかった。

 

 プッチーン。

 俺はさ。

 

 ……マジにキレたよ。

 

 


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