Vor:テスト
授業の終わりを告げる鐘の音が響く。
後ろの席からテスト用紙が前へ運ばれる。
そう、今日は高校1年の最後のテスト。
いわゆる学年末テストと呼ばれるものだ。
「ヤッタネ今日で終わりだよ♪」
声をかけてきたのは『女王』
私の友達。
「終わったね!女王様♪今日残るでしょ?」
相づちをうったのは『白兎』
え?さっきから名前がおかしい?
これで良いの。
私達はアッチの世界の人間だから。
「ごめん、今日残れないや‥」
「え〜!」
「なんで??」
だって、今日は一緒に帰るって約束した人がいるから…
「ちょっと、今日は用事があって…」
「え〜!お昼で終る授業今日で最後なんだよ??」
「でも、今日はちょっと…」
「何よ!『チェシャ猫』のくせに私の命令が聞けないの??」
そう私は『チェシャ猫』
人を惑わす問いかけを出す者。
「君の命令はきけないよ。女王陛下…いや首狂い!」
「まぁぁぁああぁぁ!」
こんな会話は日常茶飯事。
女王とチェシャ猫は嫌いあっている。
でも、女王とチェシャ猫という関係を取ってしまえば、クラスの中で創った家族。
姉さんと妹。
姉さんは私のことを妹と呼んでいる。
「今日は…携帯貸して。で、メールにして新規作成にして貸して。」
女王は言われた通りにやって貸してくれた。
そこに私はある人と帰る約束があることを告げた。
「えー!チェシャ猫は私達よりアイツの方がいいのね!!このネコ!バカネコ!」
嘘泣きでもそんな顔されたら帰れるわけないじゃん!
「ん〜…じゃあ、ごめんってメールしておくよ…」
「本当!?」
ワッと顔が明るくなる。
まぁ…いいや…
「ボクに決定権はない…決定権があるのは女王だけだからね…」
「なんでかっこいいことをいいながらそんなにいじけてるのよ…」
そりゃ、なるでしょうよ…
私に決定権はないんだから…
「でも、今日は弟のお迎えがあるから3時頃に帰るね?」
「「は〜い(o^v^o)」」
いい返事をする白兎と女王。
その笑顔が少し憎たらしく感じた…
放課後、残ってすることと言ったら『天然アリス委員会』と題された遊びに近い会議。
いや…裁判??
結局天然アリス委員会として残ったのは…
白兎・女王・トカゲのビル・三月
そして私、チェシャ猫だ。
私達の中に『アリス』と呼ばれる人物はいない。
アリスは此方に迷いこむほうだからね…
私はいなくて当たり前だと思っている。
「ねぇ!サイトを作ろうよ♪」
そう言ったのは白兎。
「いいわね!!」
「わた‥ボクが自己紹介を書くからチェシャ猫が小説かいて、で女王様が音楽を創って、ビルが絵を描くの!!」
女王が目を輝かせて聞いている。
「で皆でコラムみたいなドラマCDを創って!あぁ〜素敵!ね!やろうよ!!」
「いいわね!いいわね!やりましょう!!」
「ね?」
白兎と目があい相づち変わりに微笑んで見せた。
三月とビルは近づいてくる合唱際に向けて電子ピアノで練習と言う名の遊びをしていた。
刻々と時間が過ぎて行く。
私の帰る時間が迫る。
私は帰る用意をする。
「あれ?チェシャ猫帰っちゃうの??」
「うん。弟のお迎えがあるからね。」
別れを告げて教室から出ていった。
私は改札を通りホームに上がった。
「……あれ??」
私は電車通学をしている。
だから何??
と言われても別に言い返す言葉はないが…
でも、これはおかしい。
何故かって…
ホームに人がいない。
どういう意味??
と言われても…
読んで字のごとく
ホームに人がいない。
駅員さんもお客さんも誰もいない。
向こうのホームも見てみたが…
おかしいだろ!!
どう考えたって!!
何で人っ子一人いない!!
さすがに不安になってきた。
下に降りて確かめてみよう。
その時、電車が来る合図が聞こえた。
だが、聞こえてくるのは電子音ばかりで人の声は聞こえない。
少し不気味に思ったが弟のお迎えに遅れる訳にはいけないと脳裏によぎり私はその電車に乗った。
誰も、乗っていない。
ちょっと独占気分だ…
私はとりあえず、電車の椅子に座った。
瞼がどんどん重くなっていく…
眠い…
さっきまで眠くなかったのに…
なんで??
あぁ、もうダメだ。
お迎え遅くなるかも…
ごめんね〜…
私は眠りについた…
前半はノンフィクションで後半はフィクションでした。