その1
今この時代は、科学が発達し
人の寿命をも操作できるようになった時代。
産まれた赤ん坊はすぐに輪っか状の機械を
首に取り付けられる。
首についた輪っかは、人が大きくなるのと
同時に輪っかも伸びていく。
だから、つけたら最後
死ぬまで外すことができない。
その輪っか、通称「ライフリング」
と呼ばれるものは、
その人の命を操作することができる。
数年前までこの国は、殺人が絶えなかった。
そこで、科学の技術を使って
殺人を減らそうとした政府が
ライフリングを開発した。
傷害や殺人など故意に人を傷つける行為
強盗や泥棒などの犯罪行為を犯すと
ライフリングから特殊な電気が流れる。
ひどいと一週間目が覚めないほどの
激痛を伴って。
激痛が発生し、罪の重さに伴って
その分の寿命が縮むように
脳に信号が送られる。
反対に、人命救助などの良いことをすると
それに伴って脳に信号が送られ
寿命が少しずつ伸びる。
つまり、
良いことをする人が長生きをして
悪いことをする人が早く死ぬ 世界だ。
ちなみに自分の寿命は携帯などの端末で
確認することができる。
これで大幅に犯罪者が減った。
しかし、いつの世の中でも
不思議なことが起こる。
ごく稀に良いことをすると寿命が縮む、
悪いことをすると寿命が伸びる人がいる。
そんな人たちを世間では
「リバースライフウォーカー」という。
このリバースライフウォーカーには
少し特別な力があり、科学的な証明はないが
強く念じれば念じるほどいわゆる
「魔法」みたいなものが使えるらしい。
しかし、この魔法はいいことにしか
使えないらしい。
激痛の代償といったところか。
ところが、魔法を使える人は
リバースライフウォーカーの半分もいない
とても珍しい人なのだ。
魔法に普通の人がかからないようにするには
リバースライフウォーカーの一部に
触れておく必要がある。
髪でも爪でもその人から離れて
1日以内のものであれば、魔法にかからない。
いいことをすると激痛に
悩まなければならないことから
リバースライフウォーカーは大抵
裏でひっそりと暗殺者になっているらしい。
「そんな人がいるならダメではないか」
と思う人もいるだろうが
そんな人が確認されたのは
世界でも100人に満たないくらいだ。
しかも、そのほとんどが
国の科学研究機関に協力している
普通の一般市民だ。
もっとも、まだ他にもいて
そんな人たちは裏の取引でものすごい高値で
人身売買されているという噂もある。
彼女は、
そのリバースライフウォーカーの1人である。
彼女は、とても優しく
自分がどんなに激痛に苦しめられようが
目の前にいる人を助けるという
なんともお人好しな人だった。
しかし、そのままでは彼女はすぐに
死んでしまう。
幸い、彼女の家は町でも有名な
大富豪だったので、敷地内に
誰も住んでいない家を建て
その中で物を壊すなど、人を傷つける以外で
法に触れそうなことを彼女にさせて
寿命を延ばしていた。
国からも認められた方法だった。
そんな彼女と僕の出会いは
10年前の春。
僕がこの町に引っ越してきた時だ。
学校で思いついたので…
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