表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

野ばら

シューベルト『野ばら』より(ゲーテの詩からの着想)

明るい野に

野ばら咲いて柔らか

パステルの悲しさを知っているの?

どうぞ その棘で 刺して

深紅の朱玉を あなたにあげる


緑の風吹いて

穏やかな熱から

昂っていく

あの空まで もうすぐ とどく


でも陽は陰り

野ばらはうつむく

アリが嘘を運んでいく

つらつらと連なっていく

澄んだ滴が ひとつ ふたつ……


ミツバチが ぶんぶん 鳴いている

野ばらは こくり うなずいた

雲間から ひかりのカーテンが降りてきて

あたたかに 野を 包む

陽は ずいぶん長けた


静かに しばらく何もなくて

夕日の頃合いに

冷たい風が すーっと 撫でた

野ばらは震えて

ひとひらの花弁を落とした

ああ……

そうだったのか

全ては過ぎてから分かってしまうこと


頑なだったころ 愚かだったころ

野ばらよ

おまえが いちばん 綺麗だったころ

ゲーテって残酷なやつですね。芸術がそうであるように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ