フクロウ
しばしの沈黙の後、それを破ったのはマリーネだった
「は、はあ………?」
わけがわからないとでも言うように怪訝な顔をする彼女に、クリストンは驚いた様な顔をした。
「おや、手紙が届いていたかと思ったのですが…手違いがあったようですね」
クリストンが呆れたように呟いた次の瞬間、ガツッ、ゴン、ボトッ、という音がした。
「…今、何か窓に当たった気が………」
「本校の2年生の飛ばしたフクロウでしょう。…少々ヨレヨレですが」
マリーネは、もしかしてこのフクロウこそが例の手紙を届ける役だったのでは? と推測した。本で読んだことがある、魔法使いの話を思い出していたのだ。
「ああ…やはりフローラの飛ばしたフクロウでしたか」
クリストンが独り言をブツブツと呟いている。マリーネはなんだかさっぱり分からないながらも
「あの、フローラさんって…?」
と問う。すると、頭を書きながらクリストンが振り返った。
「ああ、すみませんね。フローラはうちの2年生で…少々ぼんやりした所がありまして」
「…そろそろ色々説明して頂きたいのですが」
不測の事態が重なって頭が混乱していたクリストンは、マリーネの冷静な一言に我に返った。
「取り敢えず、この手紙を読んでください」
クリストンから手紙を渡されたマリーネは、封を切って中身を見る。
『親愛なるマリアーネ・インディーコ様
王立アストラ学院入学を許可された事をご報告致します。
後日、担当教師がお迎えに上がる予定です。
貴女のご入学を心よりお待ちしております。
校長 シャロン・ローレンス』
「ど、どこの学校ですか?アストラ学院なんて聞いたことありませんけど」
「それは当然です。“魔法使いの学校”何ですから」
「………え?」