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革命部活動報告  必殺技の開発ー1ー

「イッチ、必殺技を作ろうや」


 小倉から"特殊能力《ギフト》"の説明を受けて数日後、挑戦者が現れず暇を持て余していたところ、小木が唐突にそう提案をした。


 また始まったかと思いつつ、太一は読んでいる本から目を離しもせず、小木に告げる。


「その漫画では必殺技が大活躍するもんな。分かりやすいな。却下」

「何でや! ちょっとは考えてくれたってええやろ!」


 小木がバトル漫画に影響を受けるのは今に始まったことではない。

 過去にも同じようなことはあった。



 

 それは小倉から説明を受けた翌日、その日も挑戦者がおらず、静かな放課後であった。

 

 太一はいつも通り、黒木が淹れたコーヒーを啜りながら、バトル小説を読んでいた。

 買ってきた本も半分程度は読み終わってしまい、そろそろ新しい本を買わないと、いやそもそも本を読んでも役に立つのか、そんなことを考えていた。

 

 黒木は例によって、部室に以前からあったオカルト本を読んでいた。

 丁度一冊本を読み終えた太一は、黒木が読んでいる本のタイトルを覗こうと試みる。

 角度の問題でなかなか見えなかったが、試行錯誤の果て、遂にタイトルの確認に成功した。

 

 

 新説、神の奇跡は実在した! ~世界の神々その実態に迫る~


 

 太一は反応に困った。神学関係の本にしてはそのタイトルは余りにも軽いものだ。

 しかし、オカルト研究会が所持していたことを考えると、一応そっち系の本なのだろう。

 その奇妙なタイトルの本を、さして興味なさげにページをめくる黒木。

 彼女が何を思ってその本を読んでいるのか、太一にはさっぱり分からなかった。


 そんな退屈な時間が続いていると、バトル漫画を読み終わった小木が突然立ち上がった。

(何やってんだあいつ......)

 小木は目を瞑り、何やら構えを取るりながらブツブツ独り言を唱え始めた。

 傍から見ると完全に異常な人間だ。太一もドン引きしながらその様子を見守る。

 小木は独り言を終えると、何やら奇妙なポージングを取り、突然右手を前に突きだして叫んだ。


「炎王滅焼弾!!」

「静かにして頂戴」


 ピシャリと黒木が言い放った。

 しかし小木は大真面目な顔で、黒木に反論する。


「すまんな。せやけどこうすれば手から炎の弾丸を出せるようになるはずなんや!」


 黒木は小木の真面目な顔を見て、心底呆れているような顔をした。


「小木君、あなたはそんなに馬鹿だったの? もっとまともだと思っていたのだけれど」


 今回は黒木と意見が一致した。

 しかし小木はまだ意見を引っ込める気は無かった。


「だってギフトっちゅうのを用いれば面白現象を起こせるんやろ? なら修行でエネルギー弾を出せるようになっても不思議やないやん?」


 

 そう言われると一理あるような気がしてきた。

 "特殊能力《ギフト》"、昨日の小倉からの説明は衝撃的なものであった。

 "力"の存在により旧時代の科学は疑問視されていたが、それでも学校の授業で取り扱われるなど、ある程度信頼できるもののはずであった。

 しかしギフトの存在は、科学を真っ向から否定するものだ。

 胸の周囲の空気を爆発させる、などといった超常現象を見せられては、常識が信じられなくなる。

 

(だったら......まさか小木がやっていることも間違いではないのか......)

 もしかしたら特訓すれば漫画のように、エネルギー弾を出せるかもしれない。

 太一がそんなことを思い始めたところで黒木が口を開いた。


「そうね。出せるようになると良いわね。でも特訓は家でやって頂戴」


 小木はせやな、すまんな......、と元気を無くしながら席に戻り、新しい漫画を読み始めた。

 どうやら無謀なことに気付いたようだ。黒木も再び読書を再開していた。

 太一も新しい本を本棚から持って来ようと思ったところで1つのことに思い立った。

(あれ、昨日の俺の心眼もあれくらい滑稽だったのか......?)

 小倉戦での自分の行動を思い出し、太一は一人恥じ入った。



 

 

「ギフトに対抗するには必殺技は不可欠やろ!」

「うるせぇよ現実見ろよ! 無理なこといってんじゃねえよ」

「今無理やから修行しよう言うとるんやろ!」


 いい加減反論するのもめんどくさくなってきたところで黒木が口を開いた。



「良いんじゃないかしら。やってみましょう」


(マジかよ......。お前そんなキャラじゃなかっただろ)

 心の中で突っ込みを入れつつも、黒木まで賛成しては仕方ない。

 太一達は決闘場へと向かった。

 

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