爆乳の挑戦者 -2-
「ねぇ赤城君。"爆乳"って言葉、知ってる?」
小倉が戦いの最中。突拍子の無いことを尋ねてきた。
爆乳。確かに小倉の胸を見ればそう呼ぶものも多いだろう。しかしそれが今この戦いと何の関係があるのか。
「どうしたのそんなにポカンとしちゃって? まさか知らなかった?」
「知ってるけど......。突然何言ってんだよ......」
「赤城君が不思議そうにしてたから教えてあげようと思ってね。驚いたでしょ。さっきの爆発」
そうだった。先ほどの目の前での謎の爆発。あれのせいで一撃喰らってしまったのだった。
「赤城君、ちょっと私の胸を見ててね」
顔が赤くなるのが自分でも分かる。そのおっぱいを見ててって何をする気なのか。まさか......。
動揺と、僅かな期待を抱きつつ、小倉のおっぱいを注視する。
すると胸の前で何かが爆ぜた。
またも太一はつい目を閉じてしまう。
しかし、太一に痛みはなく、目を開いてみても、先程までと何も変わってはいなかった。
もちろん小倉のおっぱいも無傷のようだ。
「分かった? こういうことよ」
小倉がしたり顔で太一に語り掛ける。
(つまり......)
太一は状況を整理する。
小倉の胸を見るとなぜか爆発が起こる。先程の爆発の正体もそれであった。そういうことだろうか。
(でもどうやって......)
小倉は胸に爆竹でも仕込んでいるというのだろうか。いや、そうであれば小倉の胸も無事ではないはずだ。
太一が必死に思考を巡らせていると、小倉がやれやれと言いつつ太一に説明を始めた。
「つまり、私の"特殊能力"がこれ、"爆ぜる乳"ってことよ」
――"特殊能力"
体力測定の時に聞いた単語だ。
教師は持っている奴はどんな力か分かると言っていた。
しかし自分も小木も持っていない力であったから、一部のカースト上位者だけが持っていると予想していたものだが......。
(まさかこんな意味不明な力だったのか......)
「まぁ猫だましみたいなものね。私の胸周りの空気を爆発させて、相手を一瞬怯ませるの。対した"特殊能力<<ギフト>>"じゃないわ」
もっとやばい能力もたくさん聞いたことあるし、と小倉は続ける。
「まあそんな訳だから赤城君は戦いの間はエロい目で見てこないよーに! それじゃあ説明はおしまいね。行くよ!」
そういうと小倉は間合いを詰め、殴りかかってくる。
(いや胸を見るなと言われたって......)
当然のことながら、おっぱいは体の正面についているものだ。それに小倉のそれは半端なく大きい。
おっぱいを視界に入れずに戦うなんて、太一にはどうすれば出来るのか分からない。
つい胸を見てしまい、そのたびに怯まされ、ダメージを喰らう。
その繰り返しで、太一の体には着実にダメージが蓄積されていった。
(これはマズイ......)
しかし太一はつい胸を視界に入れてしまう。動く度に上下に揺れるのだ。胸を見ないようにしても映りこんでしまう。
するとまた目の前に衝撃が走り、怯んでしまう。
そして今度は右足が太一の腹にクリーンヒットした。
太一は無様に吹き飛ばされる。
「急所は外しておいてあげたよ。感謝してね」
小倉が笑う。その表情には余裕が溢れていた。
「ごめんね赤城君、でも私賞金欲しいから。早めに降参してくれても良いよ」
しかし、もちろん太一に降参する気はない。ここで負けてるようでは学校の変革、スクールカーストへの復讐は到底果たせないのだ。
(俺は生徒会長を倒さなきゃいけないんだ。ここで立ち止まる訳にはいかない)
だがこのままやりあっていては負けてしまう。太一は必死に思考を巡らせた。
――その時、太一の脳裏にある光景が浮かんだ。




