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初投稿です。
拙い文章ではありますが、温かい目で見守って下さると嬉しいです。
悲鳴が上がる。女子特有の甲高いものもあれば、男子特有の野太いものも。ただ一つ言うのであれば、それは皆“悲痛”という一色に染まっていた。
「静かにした方がいいんじゃねェ?」
男――と呼ぶにはまだ幼すぎる。少年が笑った。その手に握られている物体――黒い鉄の塊――それは少年には余りに不釣り合いだ。
「コイツ、五月蠅いの嫌いだからなァ」
「黙れ」
「あーァ、遅かったじゃねェの」
コイツ、と向けられた視線。その先に居た少女は不愉快そうに眉を顰める。
俺のせいじゃねェよ、お前等が悪ィ。そうだろ?と同意を求めるように問いかけたが、誰一人として少年が期待したリアクションを見せない。つまらなそうに舌を打つと、すぐさま隣から鋭い視線。
「貸せ」と差し出された右の手のひらに、「はいはい」少年は持っていたソレを握らせた。
体育館の片隅で、互いに手を握り合い縮こまっていた彼等のうち一人が息を呑む。中には冷や汗を流している者も。
少女の手には余る代物。
何の躊躇いも無く引き金に手を置くその姿は、自分たちと同年代の少女とは思えない。
「命が惜しいなら、くだらない人情など捨てることね」
広い体育館に、その独白はやけに響いた。
「そして。黙ってれば私たちを欺けると思ったら大間違いよ、流田」
クツリ。笑う。哂う。嗤う。
そして、引き金は――――引かれた。