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鍛冶屋の息子は忙しい

どうもSeepです。

拙い上に下手くそな作品ですがそれでも大丈夫、見てやるよという人は見てください。

 甲高い金属特有の音が木霊し俺の部屋まで届く。うるさい。

「おら起きろよぉぉぉぉぉぉ。」

撤回。すごくうるさい。主に俺の親父の性で、分かったよさっさと起きるよ。フライパンを叩くな、フライパンを。

 えっと俺の名前はユージ・アイザラ。歳は12。皆はそのまんまユージと俺を呼ぶ。

「とっと起きろよクソ息子ォ。」

見れば、親父の手には黒く鈍く光るフライパンが握られている。おそらくキッチンから拝借したのだろう。

「ガッ。」

瞬間俺の脳が揺れた。主に物理的にフライパンを俺に殴りつけるという親父の攻撃により俺は文字通り地面に沈んだ。自慢じゃないが鍛冶屋の親父の精錬したフライパン―ダマスカスだとかオリハルコンとか良く分からない金属をふんだんに使った特注品。もちろん息子の頭をぶん殴るのには使わない―は本気で殴れば死者が出る。けど、石頭いや鋼鉄頭(・・・)の俺には頭にたんこぶ1つで済む。

「痛ッ。なんつう硬さだよお前は、なんで金属に人の皮膚が耐えるんだよ。死ぬぞ。」

手を振りながら親父は言い放った。手が痺れた様だ。だが悪いとも言わずに親父ことキンジ・アイザラはあっという間に逃げていった。あれは俺を起こすより試し打ちだな。うん。

 親父が行ってしまった後は飯は母さんが作ってくれた朝ごはんを食べた。いつもの如くすごくおいしかった。とその食事の後片付けもそこそこに俺は親父の仕事場に向かうことにする。内は代々続く鍛冶屋だ。大元は確か東方の鍛冶師である俺の祖先がここ王都近郊の村、クラインに住み始め、以後、俺たちの一族の故郷となっている。そしてその東方流の鍛冶を受け継ぎつつ生活している訳だ。つまり俺んとこは東方流クロガネ式だ。もっとも俺はその東方には行ったこと無いんだけどね。

 古き良き東方の家―おかげで滅茶苦茶周りから浮いてる―から徒歩なんと30秒。圧倒的なまでの仕事場の近さだ。木造のドアを開けると熱気がぶわっと伝わる。相変わらずな気温だ。入ってすぐの椅子に母さんが座っていた。

「おはよう。ユージ。」

「おはよう。母さん。」

 俺の母さん、セレナ・アイザラが俺を出迎えた。母さんは親父が仕事場に篭りきりなのでやりすぎないように見張っている。うちの親父は熱中すると何も考えずに一心に鉄を打ち続ける。そして栄養失調なり、熱中症なりなってしまう。そうならないために母さんは居るのだ。

「おう。ユージ来たか。」

 その原因が話を唐突に切り出してきた。

「なんだよ。」

俺が切り返すとさっきまでフライパンを握っていた親父がもうハンマーを持ちかえて鉄を打ちながらにこう言い放つ。

「材料とってこい。」

「分かった。」

この一言だ。ここから俺の1日が始まる。まず俺は先ほどは違う裏口から仕事場を出る。そこで少し走る。ざっと100メートルばかし。そして着いたのは切り崩されて少し形が変わった山と金属の塊だった。

「今回も多いなぁ。」

そう、この金属の山も親父が叩いて割って置いてきた物だ。ちょっとした山である。それでこのやたら多い金属を運搬するのは俺の役目だ。もちろん相方とか助手とかは居ない。だって俺には兄弟は居ないからな。

「よっこらせ。」

何かお爺さんみたいな声が出たが、察してくれ。据え置きのロープだけで金属塊を持っていく―しかもこれでも10分の1も運べてないという―結構、来るのだ、主に腰と縛っている肩が。

 肩に圧し掛かってくる金属はそんじょそこらの金属とは違う。だって大概練成してないから不純物混ざりまくりの石ころだもんなぁ、これ。毎晩、湿布貼らないと身体が持たない。大分慣れたけど。

一歩、一歩踏みしめながら俺は元来た道を戻る。この道は僅かに傾斜があるので足を滑らすと死ぬ。割と本気なほうで。

さてやっとこさ着いた。金属を乱雑にばら撒いて一息つく。さて、

「もう19回逝きますか。」

親父よもう少し金属減らしてください。死んでしまいます。腰と肩が。


「終わった・・・」

その後19回の往復を繰り返した。やっと終わった。死にそう・・・

「さて・・・お茶飲みに行くか。」

身体を引き摺りつつ俺は悪目立ちする我が家に戻った。

更新は不定期なので気楽にそれこそ他の作者様の作品を見ながらでも思い出したらくらいにいてください。

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