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プロローグついでに姉に報告

「あんた、いつもここにいるよな。暇なん? それともクラスに馴染めないけど出席日数だけは欲しい保健室登校くん?」

「……保険委員長ですから」と、なんとも味気ない返事をしてしまったことに後悔した。

「へぇ……」

 還ってきた味気ない返事を耳の穴から脳味噌まで運んで理解した上で後悔後を絶たず……であってただろうか?

 それともこれから後悔する予定だから先になんちゃら?

 まあ、とにかく現状、

 コイツと会話がたったの二言ですら成立してしまった時点で噂通りならば私は、 

「よし。あんた、俺の彼氏になれよ」

「なんでだ」

 こうなる。

 そんで、

 それから、

 そのままなし崩し的に、

「おーけーお前、俺の彼氏」

「おーらいクソ、私の彼女」

 私達は付き合うことになった。





「────と、まあ、そんな感じです」

「いや、どんな感じなわけよ」

 いろいろ端折って四十秒で説明しろと言われたからその通りにしたがやはり無理せずきっちり説明すべきだったと意味のない反省なんぞをしてみる。

「いや、いいよそれは、お前にきっちりした説明求めると一字一句間違いない会話がまったく省かれないまま余分多く出て来るし」

「私、人にものを説明するの苦手です」

 溜め息を一つ吐くとそれに重ねるように彼女も溜め息を深々と吐き出した。

「弟がこれだと困るわマジで」

「私も姉がこれだと困ります」

 特に意味はないけどそう返した。

 反射的に言ってしまった、いわゆるノリで。

 ああ、昨日の今日で、反省のないことだ。それこそ特に意味はないけど。

「あんたみたいなチビの堅物メガネに友達すっ飛ばして彼女ができたってゆうから本人に聞いてみたら、余計にわけが分からなくなったわ。つか、何なの? 会話したらどうのこうのでダメとか、その彼女は訳ありのメンヘラなわけ?」

「そうかもしれません」

「そうかもって……」

「今まで話したことがあるというだけで付き合ったという前例は八人います」

「八人て」

「しかも老若男女を問わず」

「マジで?」

「上に校長、下に発情期の雌猫まで」

「まさかの獣姦プレイヤーだと……」

「いえ、まだ処女膜張ってるそうです、本人曰わく」

「いや、童貞相手なら処女膜はいくらでも再生するから分からないわ」

「再生しません」

「いいえ、するわ」

「しません、再生なんか絶対しません」

「……まさか、処女厨?」

「ち、ちげーし! 別に彼女は処女のがいいとか、初めてはお互いに初体験のがいいなとか思ってねーから!?」

「女の初めては男が変わるごとに、よ」

「だーかーらー!」

「うんうん、分かる分かるよ、お姉ちゃんはバイだからその男の子のウブな気持ちもよーく分かるよ」

 ……ああ、もうダメだ。

 一回深呼吸して、とにかく落ち着いて話そう。

 よし。

「彼女は処女です」

「君は童貞の処女厨だ」

 言い切られた。

 ちょっと誰か、第三者の意見を求めたい。

 しかし、

「とにかくもうビッチでもメンヘラでもこの際ヴァージンでもいいとして、」と姉さんが無理やりに話しを進めようと声を強めた。「その彼女は可愛い?」なんて本当に流れをブッたぎって訊いてきた。

「可愛い、と思います」

「ほお」

「あと、」

「ふむ?」

「話してみたら、その、……良い子だと、思うなぁ、と」

「ほほぅ」

 あ、なんか超ニヤニヤしてる。

「なんですか」

「童貞くせーぞ幸せ者」

「うるせーよバイセクシャル」

 ……ところで、そんなに私は見るからに童貞なのだろうか。

 なんか明日また、彼女がどうこうではなく彼女に逢うのが少し怖くなった気がする。


 まあ、どうでもいいけど。

 

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