第57話 サンブ城にて
~サンブ城城下街~
ハク「やっぱ活気あるな……」
ハクがそう呟くと…シズクは物珍しそうに周囲を見回した
シズク「砂漠の向こうとは思えないですね。人も多いし…空気も全然違う……」
ハク「サンブ城は交易の要だからな」
シズク「交易の要ですか…」
ハク「今の目的はサンブ城だ。やるべきことが終わったら…モエたちも連れて城下町を見て回ろうか?」
シズクは一瞬目を輝かせて…それからにこっと笑う
シズク「是非、その時はお願いしますね?」
ハク「ああそうだ」
シズク「もしも忘れたら……承知しませんからね」
ハク「はいはい…覚えとくよっと…」
二人が城門へ近づくと
槍を持ったサンブ城の兵士がこちらに気づき…
すぐさま姿勢を正した
サンブ兵「来られましたか……ハクさま」
その呼びかけに…シズクは思わず小さく目を見開いて思う…
シズク「…!!(ハク…さま!?やっぱりただ者じゃ…ない…)」
ハク「久しぶりだな…今日はプリセラに会いに来た」
その名を聞いた瞬間に兵士は即座に頷いた…
サンブ兵「もちろんご存知です。ハクさまがお越しになることは…すでにプリセラ王女殿下に伝わっております」
ハク「……早えな…」
サンブ兵「伝令は昨日のうちに」
サンブ兵はそう言って…サンブ城門の内側へと手を差し伸べた
サンブ兵「どうぞお通りください。プリセラ王女殿下は現在、自室の間におられます」
シズクは小声でハクに耳打ちして言う
シズク「王女……やっぱり…ただの…知り合いじゃ…ないですよね?」
ハク「まあな…それに話せば長くなる…」
サンブ城門がゆっくりと開き…
二人は城内へ足を踏み入れた…
~サンブ城内~
シズク「……なんだか…緊張してきました」
ハク「無理もない…わかると思うが…プリセラはサンブ城の王女だ。それなりに厄介でそして……」
シズク「そして…?」
ハク「…話が通じる相手でもある」
シズク「その言い方いいんですか…」
やがて重厚な扉の前で…サンブ兵が立ち止まる…
サンブ兵「こちらです」
ハクとシズクは重厚な扉の先にある玉座の間へと通されていた…
玉座には威厳あるサンブ王セヴが…そしてその隣には穏やかな微笑んだ王妃クレアが鎮座している…
サンブ王セヴ「久しいな…ハクよ…」
サンブ王が先に口を開いた…その声には旧知の相手を迎えるような響きがある…
ハク「ご無沙汰してますサンブ王セヴさま。それで…プリセラはどこに?」
その問いにサンブ王妃クレアが柔らかく微笑んで答えた…
サンブ王妃クレア「自室よ。今朝からずっとあなたが来るのを気にしていたわ」
ハク「そうですか…」
ハクは小さく息をついてから…サンブ王セヴに視線を戻した…
するとサンブ王は…まるで父親のような目でハクを見て…低く告げた
サンブ王セヴ「……プリセラを…よろしくな」
ハク「わかってます」
即答したハクを見てサンブ王セヴは満足そうに頷き…短く笑った
サンブ王セヴ「それなら大丈夫そうだな」
その一連のやり取りを…シズクは少し後ろで息を潜めるように見守っていて…
シズク「…(それにしても気軽すぎる…普通王と王妃を前にして…自然に会話する人物なんて…普通じゃあり得ない…!!でも敬意はあるみたい…ハクさん…やっぱり何者なんでしょうか…?)」
シズクの中で…ハクへの疑問はさらに深まっていった。
ハク「じゃあ、会いに行くぞプリセラ王女に」
シズク「……そうですね」
ハク「緊張してるか?」
シズク「正直に言えば……はい王族の方とここまで近い距離になるなんて思ってもいませんでしたから…」
ハク「プリセラは、そこまで堅苦しい奴じゃない」
シズク「そう言われると、余計に不安なんですが……」
ハク「まあそうだろうな…さて…この扉の先にいるぜ…」
ハクが告げると、サンブ兵は無言で扉を開いた…
その向こうにいるのは
サンブ城の王女プリセラ
そしてこの再会が…
シズクにとっても…ハクにとっても、
これからの関係と旅路を大きく動かすことになるとは…
まだ誰も、はっきりとは理解していなかった。




