第51話 砂漠を西に進んで
ぴっちりキャッスルを後にし…
西の方角へと広がる砂漠にハクとシズクの二人は足を踏み出した。
~ルヴィン砂漠~
背後で城が小さくなっていく中、
砂に足を取られながらも…二人は一定の歩調で進んでいく。
ハク「この先は…」
ハクが前を見据えたまま言葉を紡ぐ。
ハク「ルヴィン砂漠を抜けて古びた洞窟に入る。そこを越えた先に…古い商店街がある。そこからさらに進めば…旋風の丘だ」
淡々とした説明だったが…
その道のりの長さと厳しさは…十分に伝わってくる。
ハク「旋風の丘から南へ向かえば……」
ハクは一瞬だけ言葉を区切りはっきりと言った。
ハク「そう遠くないうちに、サンブ城だ」
シズクは砂漠の熱気に少し息を整えながらも…素直な感想を口にした。
シズク「……大変な道のりですね」
その声には弱音というより…
状況を正しく理解した冷静さがあった。
ハクはそれを聞き…わずかに視線を下げる。
ハク「悪いな…シズク」
短いが…それは確かに気遣いのこもった一言だった。
するとシズクは…少し驚いたように目を瞬かせたあと…
ハクに柔らかく微笑む
シズク「いいですよ」
それは即答だった。
シズク「それに…今なら、ハクを独り占めにできるんですから~」
その言葉に、砂漠の風がふっと吹き抜ける。
ハクは足を止めこそしなかったが、
明らかに一拍遅れて反応した。
ハク「……独り占め…か…」
意味深に低く呟く。
それ以上ハクはすぐには言葉を続けなかった。
シズクはその沈黙を…
特に気にする様子もなく前を見つめている。
シズク「…(ハクと二人きりで旅をするなんて……少し不思議で…でも安心する)」
そんな想いが…シズクの胸の奥で静かに…膨らんでいた…
この時の…シズクはまだ知らなかった…
この旅の終着点のサンブ城で待ち構えている存在を…
ハクの過去を深く知り…そして強い影響力を持つ人物。
サンブ王女…その名が、
二人の関係と…この旅の空気を、
大きく揺るがすことになるとは知らない。
砂漠の彼方に揺れる陽炎の向こうで…
ぴっちりスーツフェチ達の運命は静かに…
だが…確実に動き始めていた。
ルヴィン砂漠を西へと進む二人の前に、
古びた洞窟の入口が姿を現した。
ハクはその洞窟の入口を見て…
ハク「……懐かしいな」
シズク「…(そういえば……)」
ハクの脳裏に…
以前この洞窟をモエとオレジで一緒に経由した時の光景がよぎる。
まだぴっちりキャッスルが浮上する前それぞれが今ほど深く関わる前の
…少し距離のあった頃の旅。
ハク「あの時は…ずいぶん賑やかだったな……」
思わず独り言のように呟くと、
隣を歩くシズクが不思議そうに首を傾げた。
シズク「懐かしい…ですか?」
ハク「ああ。そうだな…前にモエとオレジと通ったことがあってな…」
ハクは軽く笑って答える。
ハク「洞窟を抜けた先の商店街で、オレジが無駄に張り切って食材を買い占めようとしようとしてさ…」
シズクはその様子を想像したのか…
くすっと…小さく笑う
シズク「楽しそうですね。皆さんこの時から…仲がいいんですね」
ハク「まあな」
ハクはそう言いながら、
ふと視線をシズクへ向ける。
ハク「……そういえばだ」
歩調を緩めつつ、何気ない口調で尋ねた。
ハク「シズクは、どこから来たんだ?」




