第50話 来いよ…侍女として…
ハクは食堂の空気が落ち着いたところで、
改めて皆の顔を見渡し、話を切り出した。
ハク「……それでだ。俺はなるべく近いうちに…サンブ城へ行くことになった」
アス「だろうな…」
椅子に深く腰掛けたまま…
どこか分かっていたかのように肩をすくめる…
アス「俺は…向こうから連絡が来た時点で察してた。行ってこいよハク。あそこは面倒だが…無視できる相手でもない…」
ハクは軽く頷いた
ハク「だよな。長居するつもりはねえが…あの人に顔は出しとかないとまずい…な」
その会話を聞いていたモエが
思わず前のめりになる。
モエ「……サンブ城」
小さく呟いた後…
はっきりと口に出した。
モエ「私も、行きたい!!」
食堂の空気が一瞬だけ止まる。
ハクは、
ほとんど間を置かずに即答した。
ハク「ダメだ」
モエ「……っ」
モエは言葉を詰まらせてしまう…
ハクは続ける…
ハク「それに…サンブ城は遊びに行く場所じゃない。それに今回は…お前にやってもらいたい事がある」
モエ「んんんっ…」
ハク「それよりもだ。昨日の時点で言ったと思うが…アスに稽古をつけてもらえ」
その名を出された瞬間
アスがにやりと笑った。
アス「最初からそのつもりだぞ…ハク!」
立ち上がり軽く拳を握るアス
アス「モエ。お前は基礎がまだ甘い。大地の加護だけじゃなく…神器の扱い方も叩き込む…できるかな?」
モエは驚きと戸惑いを隠せなかった…
モエ「神…器……」
モエは自分の神器はどんな形状なんだろうと思う…
アス「訓練において…逃げ場はねえぞ?」
ハク「サンブ城に行く間…俺がいなくても動けるようになってもらう」
その言葉に…モエはようやく理解する。
モエ「…(置いていくんじゃない……"任せるぞ"ってことなんだ…)…分かったわ」
悔しさと決意がフィフティ―フィフティ―な入り混じった声で…
モエは頷いた。
オレジ「じゃあボクはさ…厨房にできる限り常駐しとくね☆それに……留守番も補給も任せてよ!!」
ハクはそれを聞いて…
少しだけ表情を緩めた。
ハク「ああ。皆でどこかに行く時以外はそうしてくれたら助かる」
オレジ「任された〜♪」
そして――
最後に視線が向けられたのは…シズクだった。
シズク「……」
シズクは箸を置いて…静かに考え込む…
シズク「…(私は……どうすればいいんでしょう…)」
訓練?留守番?それとも…etc…?
シズクの迷いが顔に出た…その瞬間。
ハクがはっきりとシズクに告げた。
ハク「シズク」
シズク「は…はい!」
ハク「お前は…俺と一緒にサンブ城へ来い」
その言葉に…食堂の全員が目を見開く。
ハク「付き人…もしくは侍女としてだ」
シズク「え……私がですか!?」
シズクは完全に動揺する…
ハク「サンブ城は…形式と礼儀を重んじる場所だ。俺一人で行くより…誰かが傍にいた方が動きやすい」
ハクは真剣な眼差しで続ける…
ハク「それに…お前なら任せられる」
その一言で…シズクの胸が熱くなる
シズク「……はい」
小さく…だが確かな声でシズクは答えた。
シズク「不束者ですが…全力で務めさせていただきます」
アスはそれを見て笑う
アス「じゃあ…役割分担は決まりだな」
モエは少し悔しそうに…
それでも納得した表情でシズクを見ている…
モエ「…(私が強くなる間…シズクはハクの傍に……)」
オレジ「じゃあさ…次は出発準備だね!!」
ハクは頷き…最後に一言を全員に告げた。
ハク「それぞれの場所で…やるべき事をやれ。俺は……サンブ城で片を付けてくる」
こうして…ぴっちりキャッスルは一時的に分かれたのだ…




