第47話 真夜中の百合部屋
その同時刻…の夜
~ぴっちりキャッスル2階ハクの個室~
それは明かり一つ点いていない…ハクの個室
扉が…きぃ……と微かな音を立てて開いた
モエ「……」
モエが壁伝いにそっと中へ滑り込む。
モエ「…(こっちから襲ってあげるんだから…)」
胸の鼓動がやけに大きく聞こえる…
暗闇に目が慣れてきた…その瞬間だった…
モエ「……っ!?」
モエは…その場で固まってしまった…
部屋の奥…月明かりが差し込む窓辺で…
オレンジ色と水色の影が…
ぴっちり重なっている。
それはオレジとシズクだった。
互いの肩に手を添え…
深く…長いキスを交わしている二人。
ちゅぱ♡
モエ「ぁ…………」
完全に予想外の光景に…
モエの思考が一瞬フリーズしてしまった…
モエ「……なに、やってんの……アンタ達……」
絞り出すような声で…かける…
その声で…オレジとシズクの二人ははっとして…離れた
オレジ「あ、モエちゃん?」
オレジは驚きつつも…すぐにニヤッと笑う
シズク「なにって……ハクに夜這いしに来たんでしょ?」
モエ「ち…違……っ!!」
モエは思わず声を荒げてしまうが…
その反応が逆にオレジとシズクに図星を刺されてしまう
シズクは…少しだけ申し訳なさそうに、
でもどこか納得した表情でモエを見て言う…
シズク「……今なら…分かります」
透き通るような静かな声だった
シズク「オペリフェール遺跡の壁画が映した映像…あれの"願望の持ち主"は……」
一拍置いてシズクははっきりと…告げた…
シズク「モエさん…犯人はあなただったんですね」
モエ「――――っ(あっ…私って犯人だったんだ…)」
言い返そうとするが…思いのほか…言葉が出てこない…
オレジは腕を組んで……
いつもの軽い調子で言う
オレジ「別にさ…責めてるわけじゃないよ?欲望なんて誰にだってあるしさ…そりゃあ今29のボクにもあるよ?欲望くらい…」
モエ「……ッ」
モエは唇を噛む…
シズクが一歩近づき…柔らかい声で続ける
シズク「ただ……自分でも気づいていなかった"本音"を…あのオペリフェール遺跡が無理やり見せただけ…です」
すこしモエは少し沈黙して…言葉を出す…
モエ「……最低よね、私」
オレジ「いいや?最低じゃないだろ?」
オレジは即答した
モエ「正直なだけ。それに…今夜は誰もいない部屋だから…」
シズク「ハクさんは研究室でしたし…」
モエは一瞬だけ視線を落とし…
そして顔を上げたオレジとシズクを見つめて…
モエ「……勘違いしないで。私はまだ"選ぶ"つもりは…ないわ」
オレジ「うん、それでいいと思うよ」
シズク「感情は、整理する時間が必要ですから」
三人の視線が交差する。
気まずさと…妙な連帯感が混じった空気
やがてオレジが言った…
オレジ「とりあえずさ、ここはハクの部屋だし…バレないうちに戻ろっか」
モエ「……そうね」
こうして夜は静かに終わった…




