第46話 ハクとアスと研究室と…
ハク「ごちそうさま…それにいやーオレジ。夜ごはん今日も完璧だったな」
オレジ「でしょでしょ!!冒険後の回復を兼ねたご飯はボクに任せてよ☆!!」
シズクは食後のお茶を一口飲み…
シズク…「身体の調子も完全に戻りました♡」
と…柔らかく微笑んだ。
その流れの中で、
アスがふっとモエの方へ視線を向ける。
アス「なあ、モエ」
突然名前をアスに呼ばれ…
モエ「……なに?」
とモエは少し姿勢を正して聞く…
アス「明日…時間を取れ。訓練を付けてやる」
一瞬にして…食堂の空気が変わった。
モエ「え……」
モエは目を瞬かせる…!!
モエ「それって……大地の加護をちゃんと使えるようにする為…ですよね?」
アス「それだけじゃない…神器もだ…今のお前は神器の素質はあるが…ぴっちりスーツから引き出せていない…」
ハクが腕を組み…
ハク「確かに…モエは物理と言うよりは…魔法寄りだけど…それにしても神器の反応…薄いよな出てくる気配ないし…」
モエ「……自覚は、あるわよ…」
アスは淡々と続ける。
アス「大地の加護と物理系にしろ魔法系にしろ使える神器は相性がいい。両方使えるようになれば…前衛も後衛もこなせる相当厄介な存在になる」
オレジ「厄介って言い方!!」
オレジが笑いながら突っ込む
シズクは興味深そうに言う
シズク「つまり……モエさんの…パワーアップですね!!」
モエは一度…深呼吸してから、
モエ「アスさん……お願いします。だから…本気で神器を教えてください」
アス「よし…じゃあ明日は朝からだ。あまりのキツさに泣いても知らんぞ」
モエ「泣かないわよ……たぶん」
モエは小さく笑ってそう返した
ハクはその様子を見て…
ハク「いいじゃないか。拠点に教師役が増えるのは心強いな」
と満足そうに言った
ぴっちりキャッスルの夜はまだ…始まったばかりだ。
その夜…
ぴっちりキャッスル3階の研究室…
~ぴっちりキャッスル3階研究室~
分厚い扉が静かに閉まり…
魔導ランプの淡い光だけが部屋を照らしていた。
ハクは一応…気配探知用の簡易魔法を張って
ハク「……よし、誰もいないな…」
と小さく呟く
アスは机にもたれかかり…腕を組んだまま鼻で笑った。
アス「相変わらず慎重だな。女子に聞かれたら即修羅場だもんな」
ハク「笑えねぇよ」
ハクは溜め息をつき…椅子に腰を下ろした…
ハク「モエ…オレジ…シズク……全員勘が鋭いからな…」
少しの沈黙が流れる…アスが開く魔導書のページがめくれる音だけが響く…
そこでアスが、にやりとして唐突に切り出した。
アス「で…やっぱり気になるんだがよ。ハク。お前…どの娘がタイプなんだ?」
ハクは一瞬だけ眉をひそめ…苦笑した。
ハク「あのなぁ……まだ増えるかもしれないのに…そんな簡単に決められるかよ」
アス「ほう?」
アスは意外そうに目を細めた
ハク「この世界…何が起きるかわからんし…仲間が増えることも…別れもあるかもしれない…だから恋よりも…今は拠点を安定させるのが先だ」
アス「ふっ…それでいいし…それに…下手に答えを出すと誰かを無自覚に傷つけるかもしれない…お前は昔から、そこだけは変わらんな」
ハクは肩をすくめて言う
ハク「褒めてんのか…それ」
アス「一応な」
そして、アスは話題を切り替えるように…
視線を研究室の壁へ向けた。
アス「それにしても…オペリフェール遺跡の壁画は、災難だったな」
ハク「ああ……」
ハクの表情が少し曇る。
ハク「まさか…あんな仕組みだったとはな」
遺跡に入った時の空気…
頭に流れ込んだ映像…
女子たちの反応…
すべてが思い返される。
アス「人の欲望を映す壁画…か」
アスは肩をすくめて言う
アス「古代文明…やることがえげつない」
ハクは苦笑しながら言った。
ハク「そうだよな……まさか女子達三人の中に…一人だけ卵を産みたい産卵願望を持ってる奴がいるなんてな…」
その言葉にアスは一瞬だけ目を見開いて…
次の瞬間大声を出さないよう必死に笑いを噛み殺した。
アス「っ……は…はは……!!おいそれ…言い方!!」
ハク「どうしようもない事実だろ」
ハクは真顔で返した
ハク「願望ってのは本人も自覚してないことが多い。だから厄介なんだ」
アスは笑いを収めて…少し真面目な声で話す
アス「まあな。欲望そのものが悪いわけじゃない。ただ、向き合う覚悟があるかどうかだ」
ハク「だよな。だから俺は、今は選ばない」
アス「……まあ安心しろ」
アスは眼鏡を押し上げる
アス「俺は余計なことは言わん主義だ。訓練も研究も…全部"仲間として…初期の仲間として"だ」
ハク「それは助かる」
研究室の外から…
遠くで誰かが歩く気配がした。
ハクが立ち上がり…
ハク「そろそろ解散だな。女子達に変な勘繰りされる」
アスは軽く手を振る。
アス「了解。明日はモエの地獄訓練だ。覚悟させとけ」
ハク「……ほどほどにな」
二人は小さく笑い、
それぞれの部屋へと戻っていった。




