第37話 アスと出オチ四天王
奈落四天王の殺気が頂点に達して…
ハク達に…灼熱ムカデの刀が振り下ろされようとした…その刹那
ズドォォォン!!
奈落峠そのものが悲鳴を上げた!!
地面が内側から爆ぜるように割れ…大地そのものを凝縮したかのような巨大な槍が…
天を貫く勢いで突き出した。
それは一本ではなかった。
ズドォォォン!!ズドォォォン!!ズドォォォン!!
紫落天狗の足元から…
大鷲のケルニャンの背後から…
戦斧銀亀の甲羅を貫くように…
そして灼熱ムカデの胴体を串刺しにするように
四本同時に正確無比に放たれた…
紫落天狗「なっ……」
言葉になる前に…奈落四天王の意識は刈り取られた。
ドゥルゴォォォォォオオオオオン!!!!!!
凄まじい衝撃音と共に…四体の巨躯が地面に叩き伏せられ…
微動だにしなくなった…
訪れる…静寂。
あれほどまでに重かった空気が…一瞬で嘘のように消え去った
オレジ「……え?出オチ?」
オレジが間の抜けた声を出す…
シズクは目を丸くし…
モエは唖然として口を半開きにしていた…
だが…ハクだけが…ゆっくりと空を見上げていた…
そこには…奈落峠の上空には…
巨大な魔法陣が浮かび、その中心に一人の男が悠然と立っていた。
茶色のぴっちりスーツに身を包み…理知的な細縁メガネ
長めの前髪が風に揺れ…冷静そのものの眼差しで地上を見下ろしている。
ハクの口元が…わずかに歪んだ。
ハク「……やっぱりな」
魔法陣の上でその男は…鼻で笑うように呟いた。
*「奈落四天王…?下らない…ただの……出オチだな…」
その声は低く淡々としていながら…圧倒的な自信に満ちていた。
すると男はゆっくりと降下し…ハク達の前に着地する。
大地が軋むほどの魔力が…自然に周囲へと広がっていた。
*「久しぶりだな…ハク」
ハクは肩をすくめて…にやりと笑った
ハク「相変わらず…派手な登場だな…アス!!」
アス…彼はハクの旧友にして…大地の専門家。
そして彼はハク達同様の…ぴっちりスーツフェチという
どうしようもない共通点を持つ男
そんなアスはハクの背後に視線を移し…女子三人を見て確認した…
アス「…ほう」
その目アスの目が…ほんの一瞬だけ細まる。
アス「ぴっちりスーツフェチの女子達か…可愛いな」
即座にハクが胸を張る。
ハク「そうだろそうだろ!!アス!!」
モエは腕を組み…ため息交じりに言う…
モエ「……やっぱり同類なのね」
オレジは苦笑しながら首を振る…
オレジ「類は友を呼ぶってやつ?」
モエ「それだったら私たちも対象よ…」
シズクは少し赤くなりながらも…興味深そうにアスを見る。
シズク「えっと…この方が…大地の専門家……?」
アスは軽くシズクに会釈し淡々と答えた。
アス「ああそうだね。フム…つまり君が水の加護の使い手か…なるほど、持っている魔力の流れが綺麗だ」
その言葉を聞き…シズクの目が輝いた!!
シズク「わぁ……分かるんですね!!」
アスは再びハクに視線を戻し…
アス「で?お前が奈落峠まで来た理由は分かっている」
その一言で場の空気が引き締った
アス「ルヴィン砂漠を…蘇らせる気だろ」
ハクは真剣な表情で頷いた。
ハク「ああ。蘇らして草原にする…そしてスローライフの拠点にするつもりだ」
アスは小さく息を吐き…眼鏡を押し上げた
アス「相変わらず…無茶で…理想主義で……だがそういうことは嫌いじゃない」
倒れ伏す奈落四天王を一瞥し…冷ややかに言い捨てる。
アス「まずは邪魔者の後始末だ…話はその後だな」
こうして奈落峠における戦いは始まる前に終わった…




