第35話 沈黙の奈落峠
~奈落峠~
オペリフェール遺跡を後にし…
険しい岩肌と深い断崖が連なる奈落峠へ辿り着いたハク達。
奈落峠に着いたが…誰も喋らなかった。
それは何故か…
ハクは崖の縁に立ち…遠くを見据えている。
言葉にすれば…何かが壊れてしまいそうだった。
モエは胸の前で手を組み…視線を落とす。
さっきまで『ありえない』と切り捨てていた壁画。
けれどあの映像を見てしまった今…
それはただの絵ではなくなっていた。
オレジは腕を組み…表情を硬くしたまま黙り込んでいる。
冗談も皮肉も出てこない…
それが彼女なりの答えだった。
シズクは風に揺れる髪を押さえ…静かに息を吸う。
シズク「……」
何か言おうとして…やめた…
四人とも、同じ結論に辿り着いていた。
オペリフェール遺跡の壁画は真実だった。
象徴でも、神話でも、空想でもない。
実際に起きた出来事…
そして、繰り返された"役割"
それが恐ろしいのは…
古代の話だからではない。
『また起こりうるかも』
そう感じてしまったからだ。
ハクはようやく口を開く。
ハク「……だからこそ、だな」
誰に向た言葉でもない。
自分自身に言い聞かせるように…
ハク「もしもそんな事があれば…俺たちは別の道を選ぶ」
モエは小さく頷く。
モエ「過去をなぞらないために……未来を作るのよね」
オレジが低く笑う。
オレジ「重たいもん背負っちゃったね。でもさ知っちゃった以上、知らなかったフリはできない…」
シズクは峠の向こうを見つめ、静かに言った。
シズク「大地も、水も…人を縛るためじゃなく…生かすために使うべきです」
ハク「ああその方が人も動物も自然もいいだろうな…」
奈落峠の風が、一層強く吹き抜ける。
だがその頂上の向こう側には、
小さな小屋が見えていた…
そう…アスの住処。
ハクは一歩…踏み出す。
ハク「行こうか…ここから先は、俺たちなりの答えを見つける場所だ」
過去の恐怖を背に…
四人は奈落峠を越えていく…
真実を知った者だけが進める道へ…
ハク達は奈落峠を進んでいく…と…
奈落峠に吹き荒れる風が…砂と霧を巻き上げた瞬間だった。
シュゥィイインガシュン!!!!
その風を切り裂くように…殺気そのものがハク達四人へと叩きつけられた。
モエ「――っ!?」
最初に反応したのはモエだった…
思わず一歩後ずさってぴっちりスーツ越しに肩を強張らせる
シズクも反射的に構え周囲を見渡した…
シズク「一体……何ですか、この威圧感……!!」




