第28話 記念撮影
ぴっちりキャッスルに今日もまた朝が来た…
砂漠の朝日が…オアシスの水面に反射して
ぴっちりキャッスルの中までやわらかい光を運んでくる…
朝の静けさの中…食堂にはハクと女子三人が集まっていた。
~ぴっちりキャッスル1階食堂~
ハクはテーブルに置かれた新聞を軽く指で叩く…
ハク「…お前ら…新聞見てるか?」
モエは湯気の立つお茶のカップを手に…首を傾げた
モエ「急にどうしたの?」
ハクは新聞の紙面を広げる。
ハク「エニメルって異世界の中心で…無差別テロが起きたらしい」
その言葉に、シズクがすっと表情を引き締めた。
シズク「確か…エニメルは"亜人たちの楽園"と呼ばれている異世界ですよね」
ハクは少し驚いたように目を向けた…
ハク「……よく知ってるな」
シズクは控えめに微笑んだ
シズク「水の加護を学ぶ魔法の過程で…異世界史も少し…学んでました…エニメルは魔導エクスプレスがある世界として有名でしたから……」
オレジは新聞を覗き込み…眉をひそめた…
オレジ「そんな場所でテロ?なんか…きな臭いね〜」
モエは黙って紙面を見つめ…ぽつりと言った…
モエ「楽園って呼ばれる場所ほど……壊された時の衝撃は大きいものね」
ハクは新聞を畳み…静かに言った。
ハク「だから気になった。今すぐ関わる話じゃないが…この世界も異世界との交流に少しずつ動き出してる」
オレジ「まっ…今は朝ごはん優先でしょ!!出発も控えてるしね!!」
その一言で…場の空気が少し和らいだ…
ハクは小さく笑った…
ハク「そうだな。今日はアスのところへ行く…それが先だ」
朝の光が食堂を満たす中、
ハクはふと思い出したように言った…
ハク「……そういえば、この世界の名前はラフィルドルフだったな…」
モエは一瞬きょとんとした…
モエ「そういや…そうだったわね。正直…世界の名前なんて気にしたことなかったわ…」
オレジ「うん分かる〜。住み心地が良ければ名称とか二の次だよね」
シズクは小さく頷く。
シズク「でも……世界の名前を意識すると…本当に"世界の中にいる"って実感しますね」
ハクは三人を見渡し…
急にいつもの調子で言った…
ハク「……よし。俺に抱きついてくれ行く前に写真撮影するから…」
するとハクはIBからカメラを取り出し…カメラを置く…
一瞬の間だった
モエ「……分かったわよ」
オレジ「なにそれ!!記念撮影!!出発前の!!」
シズク「ギチギチ♡な私ですけど……いいんですか?」
そんな軽口を叩きながら、
女子三人はそれぞれ一歩前に出て…
ハクにぎゅっと抱きつく。
白色と萌黄色更にオレンジ色そして水色
ぴっちりスーツが重なり合い、
仲の良さが伝わっていく……
オレジ「おっ…そろそろシャッター音が鳴るよ☆」
カシャッ!!
一瞬の出来事だったが…
それは確かに"今"を切り取った一枚だった…
モエはそっと離れながら写真を見て言う
モエ「……こうして見ると、本当に仲間ね」
シズクは少し照れたように笑う
シズク「はい……そうですね」
ハクは軽く咳払いして言った。
ハク「よし行くか…アスが待つ奈落峠へ」
ぴっちりキャッスルを背に、
ラフィルドルフの大地を進む本格的な旅が
いよいよ始まろうとしていた…




