第26話 ORIGIN
食堂に…しばしの穏やかな沈黙が流れる…
ざるうどんの器が軽く触れ合う音だけが…
静かに響いたんだ…
ハク「……やがて…お前らも思っている通りこの城を中心にスローライフをしようってな」
モエ「……そうだねじゃあ決定なんだ」
更にモエは語る…
モエ「砂漠が草原になって…それから大地を耕して畑ができて…毎日が戦いや試行錯誤じゃなくなるなら…正直悪くないわ」
シズクは茶碗蒸しを一口食べながら…目を細めた。
シズク「水を引いて、季節ごとに水の量や雨を調整して…それは…想像するだけで…胸がいっぱいになりますね…」
厨房から話を聞いているオレジが笑った
オレジ「なにそれ…最高じゃん。ボクの案を採用するんだなら…毎日ご飯作るよ?」
ハク「それは助かるぞオレジシェフ」
モエは小さく息をついて言った…
モエ「……でも、その前にやることがあるわね」
全員の視線が自然と一致した…
行ってから帰らぬものが多い奈落峠…
大地の専門家のアス…
ハク「今日は止めだな…これからだと…夜になる…だから出発は…明日の早朝だ」
モエとオレジそしてシズクは次々にこたえていく…
モエ「分かったわ…日がくれたら危ないもんね…」
オレジ「そうなんだねっ☆いいよっ」
シズク「わかりましたハクさん…」
そのあと…シズクが少しだけ間を置いて…控えめに手を挙げた。
シズク「あの…一つだけ聞いてもいいですか?」
三人の視線が向いた
ハク「ん…?」
モエ「何どうしたの?」
オレジ「悩み事かい☆」
シズク「どうして…みなさんは"ぴっちりスーツ"に惹かれるようになったんですか?」
一瞬してみんなは沈黙して答えを模索した…
最初に声を出したのはオレジだった…
オレジ「えー?急に核心つくじゃん…まあ…ボクはね…単純なんだ…動きやすいし…生地の無駄がなくて…"自分が自分"って感じが一番するからな…」
次にモエが静かに口を開く…
モエ「私は…守られている感覚、かしら…」
萌黄色のぴっちりスーツに視線を落とし…続けた…
モエ「素肌を隠しているのに…自分の体の輪郭だけははっきり分かる…そうね…弱さを隠して…意志だけを前に出せるの」
シズクは小さく息をのんだ…
シズク「……なるほど」
のこるは…ハク
彼は少しだけ考えてから、淡々と言った…
ハク「制限がある方が、人は本質に近づく…余計な装飾も、誤魔化しもない…まあ当たり前だが……出来る事と、出来ない事がはっきりする。…そして信念が浮かび上がる…」
シズクはしばらく黙ってから…水色のぴっちりスーツの胸元に手を当ててから…微笑んだそう可愛く
シズク「私も……似た理由かもしれません。水の流れみたいに…自分を正直に感じられるから」
ぴっちりキャッスルの食堂に穏やかな納得の空気が流れる…
そして明日には…奈落峠への旅が始まる…
けれども今夜は…かく各々の"原点"を確かめ合う静かな時間だった…




